RED eTap

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昨日発表会がありまして、他でも情報は載っていると思います。

とにかく
 ワイヤレスである
ってことが目玉です。

レバー操作はこれまでと違い、左のレバーを叩くとダウン、右でアップ、両方押すとフロントが動くというシステムで、シンプル。

ワイヤレスであるため、シフトワイヤ絡みのトラブルはなくなります…というんですが、ワイヤレスであることでのトラブルはどこまで埋められるかというところでしょう。

他とはちょっと違う、雑誌でも載らないような情報も含めて紹介します。

動かしてみると面白く感じるのは初めて触るからで、有用かどうかはわからないと感じました。今のところはレース機材として優れているかどうかという価値観ではなく、”ワイヤレスだし、とにかく珍しくて面白い”という価値観での魅力を振りまいています。

クランク、ブレーキ等を除いたワイヤレスシステムのみの価格は19万7千円。この箱に入って届きます。

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ワイヤ式デュラエースフルセットと同じくらいの価格となります。

ワイヤを通すという、ある意味専門性のあった作業はなくなり、セルフ作業しやすくなるともいえますから、それを好む場合には価値があるでしょう。

なお、油圧ディスクブレーキシステムを搭載したRED eTapシステムはおってリリースされ、油圧キャリパーシステムはディスコンになります。

操作
ダウンととアップを左右で分けたのは前述のとおり。フロントを動かすには”同時押し”との表現があればそれは正確ではなく、英語そのままを訳して”両方押す”と理解していただくほうがニュアンスを間違わない。”同時”となると、そのタイミングまで問われるように感じるからです。

個人的にはシマノのシンクロシフトを採用して欲しいと思いました。アウターからインナーに落とす場合、まず左レバー数回をタップし、左を押しっぱなしで右をタップという流れ。これはなれないと結構混乱するし、疲労状態で正確に動作させる自信はあまりないので、両方押したら一番スムーズなシフト操作を勝手に行ってくれるようになれば最高じゃないしょうか。

バッテリー
バッテリーは最も減りが速いRメカで60時間ほどもつのですが、バイクを静止させて30秒経過するとスリープに入りバッテリーをセーブするシステムがゆえ、輪行や車載時にもバッテリーは減っていきます。ですから、走行時以外はバッテリーを取り外す必要があります。

取り外した後は端子部分を保護するようにバッテリーカバーを前後メカへ装着するようにと指示があります。つまり、複数日にまたがるようなライドを行う場合にはバッテリーカバーを持ち歩く必要があります。

ここで懸念されるのはバッテリーと接触する端子部が濡れてしまった場合です。バッテリーを取り付けた状態ではしっかりした防水が行われるようですが、それがなくなれば無防備。それを運用上、充電時以外にも必要とするということをどう感じるか?です。具体的な状況はご想像にお任せします。

Rメカ・Fメカ・eTapレバーそれぞれの内で、コントローラーになっているのはRメカです。他2つが動いていても、Rメカがバッテリー切れや故障など何らかの理由で動かなくなってしまうと全ての機能は停止します。

バッテリーカバーはただのプラスチックカバーで、正直安っぽいですし、メカ部端子については薄いゴムパッキンのみの防水ゆえ、当初は問題なくともトラブルを潜在的に抱えやすい箇所と言えます。

ですから、どうしてもDNS出来ないレーサー諸君であれば、Rメカとバッテリーの予備を持参するほうが良さそうです。

無線方式
発表会ではあらゆる無線電波が飛び交っている状況でテストしているので問題なく、また日本国内における技適申請も認可され問題なく販売ができる状態であり、eTap専用に周波数帯を空けるなどの配慮がされたと仰っていたのですが、最後の部分はにわかに信じがたいところです。自転車パーツ代理店くらいの規模のために(しかも流通量が極少数パーツ)電波を総務省が確保することはあり得ないでしょう。おそらくは2.4GHz帯か5GHz帯であり、「AIERA」と呼ばれる独自の無線通信プロトコルを用いているとのことす。

スリープ復帰や起動時に機器同士のペアリングが外れてしまうことが無いのだろうかと不安はありますが、繰り返しテストを行っているので問題ないとのこと。

実際に使ってみないとわかりませんね。日本国内企業やシマノがするテストと、海外メーカーでのそれは同じ内容ではありません。それがQC(Quality Control)に直結し、日本人が言うクオリティと安心を作り出します。

このタイミングで「完成度が高い!」という声も聞こえるeTapですが、私はまだまだという印象です。

それでは最後に。発表会終了後、SRAM台湾からお越しのBilly Yuさんに直接伺いましたので、それを。

「質問があるんですが」
Billy「どうぞ、なんでも聞いてください」

「シマノがDi2をリリースした後、フレームメーカーとの関係性から専用フレームをリリースしたことがあります。EPSの場合にはその資産を運用していると言えますが、eTapについてはいかがですか?これまでのようにフレームに一切の穴や工作が必要なくなるがゆえ、eTapを組み込んだユーザーはそれらを”醜い”と思うと思います。」
Billy「現在のところ、専用フレームをリリースする予定はありません(つまり、SRAMの感知するところではなく、フレームメーカーの判断によるということ)。確かにそうですね、要らない工作が残るとそれは見た目が良いとはいえません。しかしそれはシマノに合わせて作られたフレームだからです(笑)これからはshima”NO”でいきましょう(笑)」

「eTapは今後下位グレードのコンポーネントにも採用する予定がありますか?」
Billy「はい、私達SRAMは常にトップダウン式のシステムを採用していますから、この技術は翌年以降にFORCE,RIVALなど下位機種に採用されるでしょう。」

「お、それはビッグニュースですね。ということは全てが1×11になってしまったマウンテンバイクやシクロクロスなどオフロードの分野でもeTapに?…」
Billy「ええ、もちろんです。その計画があります。」

「すごいですね、全てがeTapになるんですか?」
Billy「Yes」

「最後に、このRED eTapシステムをシマノ製クランクやブレーキと一緒に使用することは出来ますか?」
Billy「はい、もちろん。問題ありません。」

SRAMはもともとシマノの資産を利用した戦略をとってきたので、SRAMオンリーで組むことにこだわらないのは当然でしょう。

アルテグラや105にsTapを組み合わせる形がおもしろそうですね。

ダウングレードされた場合、その価格と105程度のシステムをミックスし、”Smano”状態を作るのは面白そうですね。

あくまでも”新しもの”ですから、リスクは有ります。だから、ダメだとは思いませんが、それを加味して価値選定すればよいでしょう。

初回入荷数は85セットで、時期は7月以降。しかしこれクランクもセットに成ったものを含めた数だと思われるので、クランクなしセットはより少ないと思われます。

秋以降は潤沢に供給されると言われていますが、これまでのSRAMをみていると、そこまでスムーズではないと予測しています。

いずれにしても欲しい方はお早めに予約して下さい。

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