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2012年2月にメリダのR&Dのボスであって、開発責任者であるヨーガン・ファルケ氏は以下のように言っていました。
「我々は軽いバイクを作り出すこともできる。ああ、もちろんだ。高価な材料を使い、開発をすれば不可能ではない。60トン繊維などの高価な材料はごく一部にしか使われていないが、製品コストを著しく上昇させる。それで性能が上がるのか?NOだ。メリダはそういった製品に意味が無いと考えている。UCIには6.8kgという重量の規制があり、軽量なフレームと軽量なコンポーネントに加えてSRMなどのパワーメーターを装備し、ようやく規制内に収まっている。だから、これ以上軽いバイクを開発する必要があるのか?NOだ。
2007年、スコットがアディクトをリリースした。Tube-to-Tube製法という接着法によって革命的な819グラムという重量をたたき出した。そこから数年にアディクトはわずかに重たくなった。それは質を安定させる為に最高のクオリティコントロールが必要だったからだ。2011年、CERVELO R5CAとCANNONDALE SuperSix Evoはターゲット重量を著しく上昇させ、800グラムとし、そこに高い剛性と快適性を与えた。しかし、それらは高価であり、R5CAはなんと8000ユーロ(当時のフレームセット価格で)もする。R5と比較し特別なデザインなしにだ。また、800グラムを下回るフレームは製品に”美”を追加するためのスペースすら残されていないのだ。
※実測データによるので、塗装込みで700gを下回るものはありません(意味わかりますよね?)
2011/11号Tour誌でそれらと直接比較されたデータがこれだ。SCULTURA SLはベストフレームランキングで2位の結果を得た。1位はR5CAだが、8000ユーロでは誰も買わないだろう(笑)
SCULTURA SLはヘッドチューブ剛性でも、BB剛性でも大変良い評価を得ており、快適性では最も良いという評価を得た。
あと80グラム(=0.08kg)がどれだけ重要かは乗り手自身が判断することだ。UCIによる重量規制はまだ6.8kgのままだ。それに対してSCULTURA SLはクリンチャーホイール・タイヤに新しいREDを装備した状態で6kgに迫ってしまっている…
また、SCULTURA SLを開発するにあたってはレースで使える、レースで勝てる、そんな機材を良いものとして考えているがゆえ、必要以上に軽く、必要以上に高価である製品を開発することは無意味なんだ。」
ここからは私の意見です。
エンジニアらしい考え方です。日本では良いフレームというと”それぞれの人に合った”なんていう表現や解釈が一般的ですが、ヨーガンはその部分はクセや個性であって、そもそもの性能はどうなんだ?という視点から評価しています。
クセでいうなら、メリダではニュートラルで扱い易いながらもアグレッシブ寄りに操作性の傾向を持たせており、それがレースで必要な性能であるとも考えています。
上記フレームとの比較に際して、日本国内での販売価格については、申し訳ありませんが個々で調べてください。実際、SCULTURA SLはそれらより約10万円あるいはそれ以上に安価です。
この時から約2年が経過していますが、カーボンフレームを生産する際の技術については著しく上昇しているという可能性は薄いと思います。”量産”という枠に収めなくてはいけない現在のフレーム生産において、です。
また、今年の2月には「30km/hで平坦路を走行時している自転車が2kg重い場合でも、たったの0.05km/hしか有利にならない。」と言っています。これもデータから証明された数字ですし、乗り手の感覚としてもそれは正しいと思えます。もちろん、軽いバイクを作って楽しむこと自体は否定しませんが。
メリダの考え方が変わるときがあるならば、6.8kgという重量規制が緩和される時か、あるいはディスクブレーキ化される際にその分の重量を他の部分で相殺する必要が出てきたときかも知れません。または軽いバイクが速さに有効であると証明され、それを選択する必要が出て来た時。
「ほとんどの人がUCIレースには出ない」それも事実でしょう。あくまでも私の感覚においてですが、普段から約7kgちょっとのロードバイクに乗っている私は、それ以上に軽い場合には操作性(安定性も含む)、快適性、強度において劣ってしまうのではないかと感じています。
もちろんそれはライダーのスキルを向上させることにより向上させることができたり、感じ方が異なるのかも知れません。しかし、UCIレースに出ないライダーこそが、それほどまでに高いスキルを持っていない可能性が高いのではないでしょうか?
ライダーの重量が60〜70kgとした場合、バイクの重量の約9〜10倍に相当します。全重量の約1割がバイクの重量ということです。つまり、バイクが軽くなればなるほどに相対的な重心は上がり、ライダーが作り出す重心位置が重要になり、ライダーにはスキルが要求されるということです。私の感覚では7〜7.5kg程度軽量であれば、ロングライドや一般のライダーが走る際にもそれほど高いスキルを必要としにくい範囲であろうと感じます。
メリダが目指すのは全方位的に高性能であり、優れた快適性を誇り、品質が高く維持され、そしてリーズナブルであること。
SCULTURA SLは大変高性能で、信頼性の高いフレームであると自信を持ってお薦めいたします。また、新しいREACT TEAMは”エアロロード対しての違和感や先入観を持った方”ほど、実際に試乗して頂きたいバイクです。決して、平坦専用ではないということを感じて頂けると思います。はっきり言って、”めちゃくちゃ速いバイク”です。
どちらもメリダのフラッグシップモデルです。ツールやクラシックレースにおいて、国内において、選手が実際に使用しているバイクと何ら変わりないバイクです。ぜひ、それを体感してください。
レースバイクにおいて最も面白い乗り方の一つは、そのメーカーのフラッグシップモデルを身近に体感することだと思います。
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自分の体重が2kg変わると全然走れなくなるのは実感してます。
身体はそうでしょうね(笑)
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RT @bicidimattino: 軽いバイクは速いのか?: http://t.co/m5Sbw2wq36
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追記しておきますと、フレーム特性が同じであるなら…という非現実的な前提条件のもとならある程度の軽さは有効。しかし、軽すぎると結局速くはない。操作出来ないし、跳ねて進まない。高速になるほど、同じ路面でも跳ねる。みんな登りや加速にフォーカスし過ぎです(笑)登って下って曲がってゴール!でしょ?
軽くするには素材を減らしつつ高弾性な素材を使う。ゆえ、脆くて硬い。軽くて柔らかいのは、たぶん保たない。
自転車ってそのバランスが大事だから、軽きゃいーってもんじゃない。
ある自転車が走らない!と言うんじゃなく、それを走らせるペダリングを身につけるべき。ロードは舗装路だから、どうにかしてバイクを走らせることは可能だと思う。
むしろ、柔らかいフレームを進ませることができるかどうか?だし、硬いフレームって大きなギアをキレイに回しにくいから進まない。軽いギアでシャカシャカなんて、フレームはなんでもいいし、それはバイクを進ませてるわけじゃない。
別に僕は軽さを否定はしてないですよ。無駄に軽いのは速くないって言ってるだけですよ。
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