グラベルロードを作るのにディスクブレーキは必須なのか?

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結論から意見しますと、NOです。

ディスクブレーキ装着可能なロードバイクが出てきたからグラベルロードというジャンルが発生したように見えるのですが、そもそも自転車は人間が漕いで走るものという所から見れば、必ず必要なのはグラベルを走るのに適したフレームが先に立ちますし、そっちありきです。

各メーカーから同様のバイクがリリースされる中でショップさんは売ろう売ろう状態だと思うのですが、私はそこに疑問を感じました。

パーツのスペックに走ってしまう、広告の悪い癖だと思います。

完成車で用意されるディスクブレーキ装着車の多くは、これまでのロードバイクと比較してブレーキが発生させる制動力に耐えるだけの強度を備えようとしているので各部の強度アップが図られているように見えます。

当店でも
「ディスクブレーキが付いたものに乗れば、砂利道とかオフロードでも簡単に走れちゃうんだよね?」
と質問されることが多くなりました。

「いや、そういうもんじゃ無いと思いますよ…」
これは誤解されているのでは?と思ったわけです。

実際、いくつかのそういった車種を試乗してみたところ、やはりフレーム全体の、特に下側とフォークの強度や剛性が増している印象でしたので、ロードバイクというよりはMTBのフレームの様でした。これも一概にMTBが強いんだとは言えないんですが、MTBがディスクブレーキ化してきた過程においてのフレーム強化と似た道を通っているようです。

MTBに明るい方に説明するならば、26時代から29時代へと至る途中でフレームの特性が変化したのと似ていると言えば良いでしょうか。

フレームワークとして外見から判断できるのはダウンチューブとチェーンステイの大径化。下で支える感じです。その分だけトップチューブとシートステイを細く、あるいはアーチさせ、快適性を出しているんだろうと思います。

これが上手くいけば良いんですが、BB周辺が動きにくいという感じとともに、ペダルに伝わってくるタイヤからのインフォメーションが硬く感じました。自転車の場合にはペダルに体重をかけて乗る乗り物なので、この部分が敏感に反応しますと挙動自体が敏感になりがちです。ブレーキの制動力もシビアにタイヤへ伝わる為、路面とのコンタクトも同様になるだろうと思います。その為、28Cというような太いタイヤが登場しています。タイヤの体積を増し、空気圧を下げ、その部分で吸収する必要があるでしょう。

合わせてフォークが29erのリジッドフォークの様な強度を持たせる必要がある為、古典的な先曲げロードフォークにあった柔軟性や路面を細やかに追従させるものでは無いようです。もちろん素材そのものはカーボンですから、細かい振動は吸収します。しかし、たわみそのものが必要なシチュエーションでは、ガッチリとしたフォークとロードバイクのフォークでは全く異なってきます。もしかすると、シンプルなサスペンションシステムすら登場するのではないか?と思っています。

つまり、ディスクロードであったり、グラベルロードであったり、このジャンルは大変面白そうなのですが、もともとの”ロードバイクひ必要な要素”を欠く場合があるだろうと思っています。それゆえ、車種選定であったり、コンポーネントチョイスであったり、細かな部分での味付けによっては扱いづらいバイクになってしまうかも知れません。

例えば、スチールで出来たディスクブレーキ装着グラベルロードならば、その部分を上手くバランス出来るのか?と思ったりもしています。

結果的には、グラベルロードといってもどろどろの所を走るわけではないのであれば、CXバイクの様にある必要は無く、28C程度の太いタイヤを装着できるエンデュランスロードがあれば、決してディスクブレーキ必須ではないのではないか?と思うのです。

もちろん、雨天時にも安定した制動力は魅力です。しかしそれも、ブレーキ単体として発生させることが出来る制動力という意味であって、それを伝えるフレームを含めてどこまで扱いやすく成熟していくのか?と考える必要がありそうです。また、雨天時にもそこまで乗りますか?とも思います(笑)

反面、シクロクロスには有効だと思います。ロードとはスポーツの質が違うからですね。

もう一つの結論を意見させて頂きますと、メリダのRIDEシリーズはグラベルロードに最適です。あるいはグラファイトデザインのWROCCAも最適な解の一つだと思います。

このような車種に今月リリース予定であるパナレーサーのグラベルキングで28や32を履かせた状態なら、脚は続くし、乗るのは快適だし、まさに求める性能通りだろうと思います。

グラベルロードについてのご相談はいつでもお待ちしております。

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