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完成車は7分組という状態で出荷され、お店に入荷し、それを私らが組み立てるわけですが、メーカーでは”納車前に多少の調整をして下さい”と言っています。
組み直して下さいということではなく、調整して下さいとなっているのです。ということは後は調整する程度で乗れるということです。ところが、よく言うのはその状態が”良くない”ので、全て(あるいはその一部を)バラして組み直すのだということです。
私の考え方は、責任の切り分け、そして最終チェックと走行可能な状態へ、ライダーに合わせて行う組み上げ精度の向上ということです。
ある程度手を入れるのは私もやっているのですが、全バラをする必要はないと考えています。これまで幾つものメーカーの完成車を組んできた経験がありますが、全バラか必要だろうと思われる製品はありました、確かに。しかしながら、そもそも全バラする必要があるならば、それは出荷すべき状態ではないですから、返品すべき商品ということですね。それをバラしてまで組んで渡す…どうなのでしょう?また、当店ではそのような製品が度々あるメーカーをオススメしていません。
メーカーがしてくれた仕事が不完全である場合には、そこは切り分けて考えねばなりません。これまで(今でも)あったこととしてはこんなことがありました。現実的に考えて、組み上げ精度が現在以上に上がらないことをお互いが分かっているが為に、店頭でその部分をフィックス・カバーするということです。どうやってもちゃんとした物が得られないならば、そうすることも必要だと考えられる一方では、完璧な状態の製品を出荷させることを諦めるということでもあります。私はちゃんとした製品を出荷してほしいので、切り分けて考えています。
先日は塗装不良が納車前に発覚し、返品交換をしていただきましたし、過去にも履歴はあります。エラーが起きる事はゼロにはできませんが、その数と対応がキーポイントです。使用中の不良発覚に関しても同様に当たり前の処理をしています。
その結果として、当店では信頼性の高い組み上げを行っているメーカーのみを心からおすすめしています。
実際、当店でオススメしているメーカーに関しては7分組で来たものを調整しただけでも乗ることが出来ます。普通に使えます。海外では日本人ほど細かな神経を持ち合わせていない事が多い為に、ほぼそのまま納車されます。ゆえ、日本ではワイヤが長いなとどメーカーに上がってくる文句も、海外の多くの国では無く、残念ながらこちら側はスタンダードではありません。
とはいえ、度々チェックをしています。度々というより、毎回です。なぜなら、食べる人が美味しいと感じる状態が異なるからです。料理はそれに合わせて味を調整します。最大公約数ではありません。また、おおよそ問題が出そうな箇所は察しており、そこを重点的にチェックします。
このような作業をやるかやらないかで組み上げ時間は大きく変わってきます。以前勤めていたところの大御所メカニックさんは「そんな完成車なんて15分位でチャチャッとやっちゃえよ」と言っていたのですが、そこのスタッフは皆「そんなことは出来ない」と目に見えぬところで、あるいは残業してまで作業しました。まぁ実際、そうしないでチャッチャとやらないと間に合わない場合があったり、そうしているところが今でもあるということでしょう。完成車にいくらコストを掛けても工賃を頂けないので、ということですね。そもそも、それを頂かないシステムを常態化させた過去の歴史が、問題だと思うのですが…。
全て乗り手にその方にとって良い状態で納車しているとは思えません。当店で販売した自転車ではないものが修理で持ち込まれますと、度々驚かされることがあります。多くはどのお店とは言いませんし、思いません。あくまでも印象が含まれるからですし、感情論ではないからです。
その状態でも、当店で買っても、値段は同じです。
当店では自転車を定価で販売していますが、それはそのままでも十分にご満足いただけると思っているからです。道具を選ぶことへのお手伝い、目的を探すお手伝い、ただ形にするだけの状態との差、あるいは納車に際してお話する内容の差も商品価格に含んでいると思っています。その上で値引きしてしまいますと、販売するにあたってかかっている時間コストに対して見合ったものにはならず、当店は利益を出すことができなくなってしまうのです。あるいは単なる技術と知識を安売りをすることになりますので、自転車業界全体に対して価値低下という悪い影響を与えてしまいます。中長期的に見て、それは乗る側にとっても好ましいことではありません。
自転車の組み上げ精度を気にしてみてください。
ちなみに組み上げ精度とは”細かな技”というマニアにしかわからないことではなく、”美味しいか不味いか”というごく単純なものです。
美味しさは人によって異なります。どういうものを美味しいと思うかが異なります。食べた経験のある人ほど、美味しいと感じるものの範囲は狭くなりますが、奥深くなります。あるいはまだ経験の浅い人はどんなものが美味しいと感じるかわからない場合もあるため、その案内をする必要も生じてきます。
つまり、経験者のバイクほど長い時間をかけて積み上げるのではなく、その方向性が決まってくるだけです。また、初めて乗るバイクほど”これが味のベースになるんだ”という一定の緊張感を伴って作業しますので、その両者に差はありません。
頂いた対価に応じた仕事を乗り手に合わせて施しています。
食べる人のお口にあったものを、どうせ食べてもらうなら提供したいと思っています。また、その際に”ウチの味”も感じて欲しいと思っています。
その両方がなければ自販機で十分です。また、それがウチを選んでいただいた方への感謝の気持ちです。
もし、組み上げの際に施してほしい仕事の内容がありましたら遠慮なく仰って下さい。それなりの対価を頂き、作業させていただきます。
食べる側としても、どうせ食べるなら自分がどういうものを美味しいと感じるか、伝えてみてください。
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自転車は、お店の規模とか価格の安さとかで選ぶのではなく、このようにしっかりした考えを持ったお店で買うようにしないとだめですね。
ありがとうございます。
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