SRAM eTapはどこまで本気なのか

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ダートフリークさんから新しいカタログが届き、そこにはアノSRAM eTapも含まれていました。販売はフルセットのみで、価格はドーンって感じです(笑)

正直、ガジェットにしか見えないんですが、SRAMはどこまで本気で作ってるんでしょう?こういうものがデビューすると、使ってみたい!欲しい!というのが普通のお店なんですが、普通じゃない当店では極めてドライに見ております(笑)

つまり、無線化するメリットは何なの?ってことです。

変速スピードは速いのか
有線の電子シフトと変わりはないと思います。むしろ、機械式の方が電子シフトより変速スピードは多分速いと思います。例えば、ダウンシフトは機械式のカンパが一番速いと思います。リリースはレバーを押した瞬間に起きるのに対して、シマノとSRAMはレバーを戻してリリースなので。電子シフトはスイッチを押してから変速を終えるまでのスピードはそれほど速いとは思えません(むしろ遅い)が、疲労した状態でも同様のシフティングが出来ることがメリットで、操作ストレスも軽減できます。F1くらいまで技術が高まれば、スイッチオンから動作するまでのレスポンスを機械式同様に出来るのですが、一般車レベルではやはり機械式の方がレスポンスが良いと思います。Di2でも、シフトレバーをスイッチしてから動き出すまでのちょっとした間は、機械式ではないもので、この間は多段変速を行うほど積み重なっていくため、多段変速した時ほど機械式と比較しシフティングは遅くなります。

トラブル対応
電子シフト特有のトラブルが起こる可能性を秘めており、それは有線電子シフトでも起こっています。またそれは、機械式のように目に見える状態で起こることは少ない(ほぼない)ので、突然システムダウンするというまるでPC機器のような事態が起こります。実際、シマノのDi2にしても、世界的な規模ではシマノが予測した販売目標に対しては到達しておらず、第2世代(9770/6770)のスタート時にこそブーストアップしたものの、9070/6870世代では落ち着いているどころか売れていないというデータがあります。電子シフトが世界を制するには105クラスにまで落としこむ必要があると思うんですが、それが幾つかの理由で出来ないのでしょう。

メンテナンス
ワイヤの部分が無線化することでこの部分はメンテナンスフリーを実現できます。しかし、長期間使用することで電子基板部分というのは何らかのダメージを受け、交換が必要にはなるでしょう。その時にはおそらく”パーツごとの取り換え”になるものと推測できます。落車等によりダメージを受けた場合、内部電子基盤に損傷を与えることは考えられます。ちなみに、シマノDi2ではEワイヤに関するトラブル(例えば断線など)は殆ど出ておらず、長期間使用したとしても問題ないとのコメントを得ています。また、「プロチームにおける使用環境でシーズン途中にEワイヤを定期的に交換するなどしているのか?」と聞くと、「No」でした。トラブルが起こる場所、それはほぼほぼAジャンクションに集中しているそうで、漏電等のトラブルもそこが原因であることが多いのだそうです。トラブルが起きた場合にはまずジャンクションAを交換してみる必要がありそうです。

バッテリー
Di2ではバッテリーは一箇所あり、そこから有線のEワイヤを通じて電力が4箇所に供給されています。eTapでは無線化するため、前後ディレイラーとシフトレバーはそれぞれべってリーを搭載します。前後ディレイラーのバッテリーは同一のものとなり、45分間の充電時間によって約1000km/60時間の使用が可能です。シフトレバーにはCR2032(ライトなどでよく使うボタン型)を使用し、約2年間に渡って使い続けることが出来るとのこと。バッテリーはわずか24グラム。簡単に取り外して交換することが出来るので、スペアをサドルバッグに収めておくことも容易です。バッテリーの残量は前後のディレイラーにあるLEDインジケータにより知ることが出来ます。電池の残量が60〜50時間あれば緑点灯、15〜5時間ならば赤点灯、5時間未満になると赤点滅で知らせます。まだ確定はしていませんが、eTAPのANT+互換機能によって、GARMINのEDGEシリーズにバッテリー残量を表示することが出来るようになり、現在テストを行っているとのこと。

混線
今回独自プロトコルを開発し…となっていますので、ANT+でも、Bluetoothでもないようです。バッテリー残量の件でANT+互換機能をうたうということは、周波数帯は2.4GHz帯であると推測できますが、わかりません。バッテリーを食わないことも技術選定の条件になるはずですから、Bluetooth4.0で追加されたBluetooth LEは有力です。ちなみにBluetooth LEは鍵の配布にAES-128 bit暗号化エンジンとペアリングメカニズムを用いています。128bitのAESで暗号化されているので、恐らくは現実的にこれを解読し、ジャミングすることは理論上ほぼ不可能です。ただ、2030年くらいになりますと、コンピューターの性能が向上し、計算速度が上がり、128bitでは解読されてしまうかも知れません(笑)が、平文化されてもその意味がわからなければそれもまた現実にはならないのではないかと思います。現在は使用が推奨されないDESの解読の最速タイムは1999年に3万台ほどのコンピュータを接続した並列処理で約22時間という記録ですが、それを1秒で計算できるコンピュータが実現したとしても128bitのAESキーを解読するのには149兆年かかる計算です(笑)ちなみに、宇宙の年齢は約200億年よりも若いと考えられています…
ただ、2.4GHz帯は多くの電波が飛び交います。最も強力なのは電子レンジです。これを沿道で作動させると、eTapは混信するかも知れませんね(笑)

狙ったメリットは何か?
わかりません。正直、私にはまだわからないです。ワイヤがなくなるということ自体以外にメリットが見つからない状態です。どなたか教えて下さい。

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