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スミスが提案する非円形ギア、「Baroque-Gear」とは
楕円でもない、真円でもない、そんな新しい概念をもたらすチェーンリング「バロックギア」、そのテストをしています。
楕円ギアでは以前にQ-RINGSを使っていた時期があるのですが、「あ~なるほどそういうことだったか」と一定の納得を得て、もう二度と使わなくなりました。
結論だけ言いますと、あれはやはりというか、TT・TRI的な前乗りを前提としています。ロードであってもエアロ系バイクでサドルの先っちょに座り、小さ目のフレームを選び、肘と膝が重なるくらいコンパクトに構え、決して下ハンは握らず(その方が空気抵抗が小さい)、とにかく踏み続けるためです。その方が出力は上がります。しかし、その場合に膝の上死点とペダルの上死点がずれるため、210度~360度あたりのペダリングスピードが落ちてしまうがゆえ、それを解消する道具でもあるというわけです。エアロ系ロードバイクは、決して空力に優れているから速いのではありません。
アウターがメインなのはそのため。
楕円度合いを比べては、どのメーカーが正しいとか間違っているとか言うんですが、私からすればどれも一般人向けではありません。楕円度合いが強いものほど、強い踏み込みを必要とし、それは長時間続ける目的に出来ていません。デッドポイント通過時のギア比を小さくと広告にあったりしますが、そもそも大きなギア比のポイントで踏み続けられなければ話にならないのです(笑)
また、シッティングでしか使い物にならず、変速性能はDi2ありき。「Di2との相性は良い」なんて書いている人がいたのですが、そりゃそうです。Di2はパッと見こそ従来の機械式と同じように見えますが、まったく動きの質も中身も違うので、チェーンリング性能を無視できる場合があります。
ここまできてようやくバロックギアについてなのですが。
このバロックギアはヒルクライムでのタイム短縮や、ロングライドでの負荷低減を狙って作られています(今後、TT等での出力アップを狙った製品も開発されるのではないかと思いますが、実はかなり難しいのです…理由はゴニョゴニョ…)。
つまり、各種楕円ギアは出力アップが目的です。
それはペダリング効率アップより安易に出力アップをした方がパワーウェイトレシオ向上が実現でき、またレースでも有効だからです。我々がするロングライドでは、”淡々と”踏む必要がありますので、ちょっと違ってきます。楕円ギアをペダリング修正になんていう声も聞こえたですが、そんなわけはありません。明らかに”踏まされます”。O.SYMETRICについてはあれが踏めるならそもそも苦労していないでしょうし、Q-RINGSの製作精度の酷さと値段設定を私は受け入れられません(笑)
バロックギアではその淡々とを実現できると思います。
何度か使用した感じでは、楕円ギアのような(実際に楕円ではないが)踏まされるけど、デッドポイントでのスカスカ感はほとんどありません。少々(すぐ対応できるレベルの)踏み方は変える必要がありますが、Q-RINGSのように(慣れるために)何百キロ走りなさいという感じはしませんでした。
ペダリングモニタで見ている限りでは、180度付近でのベクトルはより接線に近づき、その長さは短くなり、自分の感覚としてもスムーズさを感じました。
ただ、乗り手にも変化は必要だと思いますし、セッティングにも詰める要素は当然ながらあります。というのは、今回テストしているP1(90度付近でピークポイントを迎える)の他に、P2~4(10度ごとに120度)までピークの違うギアがあり、またそのオーダーも可能ということで、そこのマッチングであったり、ペダリングトルクの調整に修正が必要だろうということです。
私の場合、真円ギア使用時と比較し、90度付近でのピークは120度にかけて減少するようになりました。つまり、ペダリングモニタ上での効率数値は向上しています。しかしながら、「もう少し長く踏みたい(わかりますか?この感覚が)」感じもしました。
理想としては、自分が真円ギアでピークを出しているポイントをどうやってバロックギアの中に取り入れていくか?ということであり、その人の踏み方の特徴を活かせるということです。株式会社スミスさんには私のペダリングモニタでのデータも見てもらっているので、そこで理想が実現できればとという期待があります。
その後、真円のアウターギアで走ってみると、180度付近でのペダリングスピード減少を感じ、むしろ踏まされることに気づきます。
「う~ん、なるほどそういうことか」
ここ最近自己解析し続けた結果としてわかったのですが、”無駄踏み”する原因としては引き上げ時にペダリングスピードが落ちることがあると結論を得ました。引き上げられないから踏んでしまう、踏んでしまうと180度付近でペダルが止まり、さらに引き上げにくくなる。卵が先か鶏が先かのように感じるかも知れませんが、きっかけとしては引き上げでしょう。平ぺでペダリングするとわかると思います。
今後もテストを続けます。
いわゆる”ピーク付近からの抜き方”は比較的なだらかですから、特別な慣れはあまり必要なく、ヒルクライムでのタイム短縮やロングライド中の登りセクションでのケイデンス向上を狙えるギアだと思います。
今回テストしているのは39Tです。今後は34Tなどその他のバリエーションも期待されます。
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