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こんなの今更って話なんですが、カタログやメディアでは”フレーム形状が空気を切り裂いて速い”とか言っていたりするので、驚いてしまいます。
この結果でのフレームとホイールのところで、200Wでも300Wでも400Wでも同様に1km/hくらいしか変化がないということは考えにくく、ほぼ誤差の範囲か、有利に出た数値を表示しただけでしょうね。
むしろ、人間のフォームに関しては高出力ほど有利であって、それが結果的に同じ速度を出す場合でのワット削減になります。もちろん、踏みにくいフォームは間違いなんですが、それでも総合的に効率が良いならそうすべきということです。
こういう話をすると、小さなことの寄せ集めと言うんですが、それをやってじゃあ30W削減できました!というのにどんだけコストがかかるのか…と考えれば、非現実的です。下手をするとフレームがもう一本買えます(それどころじゃないでしょうね)。だから、エアロヘルメットとシューズカバーが対コスト上は効果的なわけで、他は気にしなくて良いのです。
ビッグプーリーやセラミックベアリングでのワット削減など、その効果はおどろくほど小さく3〜5W程度。5万円以上かけてそれをやるなら、チューブレスタイヤにした方が効果絶大でコストはおどろくほど安いでしょう。先日のAttack!299でも下りでの速さは特筆モノでしたねぇ。
ホイールのリムハイトが高くなるとスポーク長が短くなりますから、ホイール剛性は上がります。そのことで高出力時でも力は逃げにくくなりますが、空気抵抗削減による効果はほとんどないということです。スポークが短くなるとタメが無くなるので、ペダリングの正確性が求められます。足が切れてきた時ほどディープリムには助けてもらえるのではなく、足を引っ張られるということです。
もし、有利に働くとすればペダルを漕ぐことが無駄になる場面でしょうね、ギアが回りきっちゃっている下りなどの。でも、気にするほどではありません。ホイールメーカーやバイクメーカーからすれば、横から見た時の面積が大きい方がデザインのしがいがありますし、ロゴも大きく配置することが出来て有利です…
むしろ、エアロフレームの効果はスローピングになることによって消えた性能項目の復活です。つまり、ホリゾンタル形状のフレームを作って、そこに今っぽいデザインを与えているだけ。
同じフレームをホリゾンタルとスローピングで乗り比べられる機会が今はもうありませんが、以前それをコルナゴでやった時には、それぞれの特徴が出ていて関心したことがあります。
同じ車種のはずなんですが、乗り味は全然変わります。変わるのは当たり前だろうとわかる一方で、それの違いを具体的に想像できる方は少ないはずです。
簡単にいえば、ホリゾンタルは伸びがよく感じられる代わりに出足はダルく、スローピングは振りが軽く出来る代わりに伸びが鈍くなります。それぞれ得意なスピード域と出力域が異なるということでもあります。
また、それぞれの欠点を如何にして消して、気にならないようにするか、それも開発のノウハウと手間というわけです。例えばメリダのリアクトは「登れるエアロフレーム」なんて言いますが、それは欠点の消し方が上手ということです。また、スクルトゥーラは軽いけどそこそこ伸びもあります。