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前回ご紹介したアルミフレームのSCULTURA、2017年になってフレームが刷新されています。
そのフレームを使用した完成車は、
SCULTURA 400
SCULTURA 700
の2車種です。
フレームは一緒だけど、パーツが違うというよくあるパターンですが、その違いは分かりやすく、「フレームはほとんど同じで、どっちも105組みだけれど、700はクランクとブレーキも105だし、ホイールもいいものがついています」と伝えてしまいがちなんですが、よく見ると他にも違う所があります。そんな見過ごしやすい所も今回はピックアップします。
単なるスペックの違いというより、乗る人が求める・考える乗り方や目的によって、どちらを選ぶかは違う、そんな2車種です。
BB形式の違いによって
700 プレスフィット
400 BSAスレッド
規格乱立&大混乱継続中なBB絡みです。基本的にこのクラスではBSAスレッドとするのが標準的仕様なメリダなのですが、今回は上位機種的な意味合いで700にはプレスフィットを採用しています。BSAスレッドが一番いいんだとの意見があるのですが、プレスフィット化することでアルミの塊であるスレッド部分が不要となり、100g弱の軽量化をすることが出来ます。たった100gではあるんですが、されど100gでもあり、運用上問題が出にくいプレスフィットで実現しています。さらに、使っているのはシマノ純正BBなので安心です。
パッと目につくステムの角度
400 85度
700 73度
と異なっています。「んん?このクラスの完成車なのに、73度ってなぜ?」と第一印象を得たのですが、乗ってみるとそのシックリ感に驚きました。400ではやや腰高に感じていたヘッド・フォーク周りがストンと地に足がついた印象へと変わり、ペダリングにもグッと力が込めやすく、ダンシングでも安定性が増しました。スポーツカーを買うけれど、レーシーに走るよりはゆっくりツーリングという方には400の浅いステム角度がベターです。4000だとパーツアッセンブルは700にやや負けますが、予算を抑えてレーサーらしいロードがほしいという方に向けて、この700は企画されているようです。
44サイズの有無
700にあって400に無いもの、それはフレームサイズ44です。700ではトップ長515というサイズから用意されています。
クランクは
400 FC-RS500 50×34
700 FC-5800 52×36
105か、その下のグループ外製品かという違いはすぐ分かります。これによって重量が70gほどことなっています。「両方シマノだから安心」ではあるのですが、FC-RS500はシマノで唯一の11速対応5アームクランクとなっているので、上位機種とはチェーンリング取り付け互換性がありません。また、歯数がことなります。700では52×36というノーマルな歯数を採用し、このフレームのポテンシャルをより引き出します。初めて買う方にたとえて説明するならば、自転車はペダリングによりしなって進むと聞くと思います。そのしなりをより引き出せるのが大きなギア歯数で、大きなロングボウで的を射るようなイメージです。反対に小さなコンパクトクランク(50×34)では一度にする動作が小さい分だけ、回転を上げて弓を射るイメージでしょうか。どちらにも一長一短がありますが、目的次第では選択可能です。また細かい所では、700にしかない44サイズのフレームに対してのみ、165ミリクランクが用意されています。小さな気遣いですが、大変ありがたいでしょう。
ホイールが違う
分かりやすい違いです。メリダオリジナルホイールはALEX生産のリムを採用しています。ALEXと聞くだけで”駄目だ”と判を押してしまうのは余りにもブランド志向が強すぎるでしょう。しっかりと手組されたホイールは安定していて、使いやすいはずです。それに対して700に装備されたDT SWISSのR24 SPLINEは、カッチリしつつも転がりのスムーズさが光ります。リムハイトは抑えてあり、スポーク本数もしっかり備えているがゆえ、よくできた手組ホイールのようです。よくホイールでは”ハブの回転”を気にされる方もいますが、ホイールは”転がり”が大事です。ホイールを両手で持ち、宙に浮かせ、ハブだけ回っていてもそれは現実とは違います。最適なリムを最適なテンションで信頼できるスポークを用いて適切に組み上げてこそ、ホイール全体として転がっていく。DT SWISSのホイールはその点で優れていますから、”自転車の進み方”が違うことを感じられると思います。確かに重さは違うのですが、ホイールの転がり感は重さの違いにより変化するのではありません。総合的な味付けの違いです。
まとめ
前回のポストでもこのフレームが持つポテンシャルについてお話ししました様に、これまでは”最初の1台”的なスタンスでしかアルミロードを作ってこなかったメリダが、ここにきてやる気満々なアルミレーサーにも使えるバイクに仕上げてきました。
この400と700の違いが意図する所としては、その部分の具体化をパーツアッセンブルで表現しているという形です。逆に400はコストを抑えつつ、大事なところは抜かず、安定した1台を変わらず備えさせたということでしょう。
どちらがオススメか?
自分が乗るなら700ですが(実際に現在長期テスト中)、結論は乗る人によって変わるでしょう。
これを読んでいいただいてイメージを膨らませても、まだまだ悩んでしまうようであれば、店頭にご相談へお越しください。何でも力になりますよ。
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