ツールの山岳ステージで有利なのはエアロロード?それともクライミングバイク?

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タイトル通りの記事です。

ざっと要訳してみましたので、参考まで。日本のメディアでは出ないような内容ですね、真実は隠されがちですから。

話を単純にして、ある時は”軽い方がいい”と言い、またあるときは”エアロが有利だ”と言いますが、実際に誰にとって、どの用途にとって有利なのか?を知っておくべきでしょう。

最後まで読むと、なるほどおおよそ適切なチョイスが見えてきます。しかしながら、”レースを目的にしない”ライダーであれば、「好きなものに乗る」ことも大変重要です(笑)

「結局好きな方に乗るから知る必要ない」とするもよし、知った上でちゃんと好きな方を選ぶのも良し。どちらかと言うと、後者のほうが精神的に健康そうですね。

今ツールでも山岳ステージにおいて空力的に有利なエアロロードを乗る選手が多く、それはなぜなのか?という内容です。

〜以下、訳〜

LOOKは785 Huez RSで5.9kgのバイクをリリースし、全てのブランドでは6.8kgを下回る重量のバイクを持っています。一方、多くのエアロロードも6.8kgに近く、アルミホイールを装備したSCOTTのFOIL RCはわずか7kgですし、新しいMERIDAのREACTOは6.8kgです。

多くのプロライダーは体重1キロあたり約6.2ワットの出力を発揮しますから、車重も含めた場合に登りの速度についてはほとんど差が出ない状態になっています。以前のように6.8〜6.8ワットまで常時発揮すれば、圧倒的な登坂速度を得られるのでしょうけれど…、人間に戻った現在ではそれは一時的なものになります。

バーレーンメリダの結論は、もはやステージレースにおいて登坂で勝利したり、タイムを大きく失ったりすることは起きにくいというものです。しかし、3つの状況において差が付くだろうと予測しており、それは「下り」「エシェロン」「タイムトライアル」です。

これらの状況において空力的性能は大事です。

それに加えて、ここ数年の間にステージレースのゴールは山頂ではなく、街へ下ることが多くなりました。それは主催者がゴールに設定された街の収入を増やすことを目的としたもので、第9ステージのシャンベリーがその良い例です。

2017年のジロ・デ・イタリアのクイーンステージだった第16ステージにおいて、ヴィンチェンツォ・ニーバリはステルビオからボロミオへ下り、勝利を挙げました。

この下りは18kmで、平均勾配7%、標高差は1226m、32のターンがあり、技術的に難しいセクションが2箇所あります。ここをニーバリはスクルトゥーラに乗って、17分15秒(平均速度60.46km/h)で下りきりました。

同じ峠を新しいリアクトで下った場合をモデル化した結果、ニーバリのタイムは20秒短縮され、16分55秒(平均速度61.73km/h)となることが分かりました。これはグランツールやステージレースにおいて大きな差となります。

ゆえ、メリダでは山岳ステージにおいてもエアロロードに乗ることがタイムを短縮するのに役立つと結論づけました。しかし、2017年のジロの表彰台に乗ったライダーが乗っていたバイクはクライミングバイクだったことはその結論と少々異なる奇妙な点です。

以下のテスト動画においては、 CERVELO S5(7.2kg)はFOCUS IZALCO MAX(6.4kg)よりも800gのウェイトペナルティがあっても、より高い出力を持つライダー(300ワット)であれば、エアロバイクはクライミングバイクとほぼ同じくらい速かったことが証明されています。しかしながら、200ワットで登った場合にはクライミングバイクの方が速いと分かりました。

ロングライド層の多くの方は自分の出力を知らないと思いますが、恐らく登坂時は200W程度だろうと思います。150W程度だとほぼ止まってしまうような感じです。

[200W一定出力]
エアロロード:15km/h、9分24秒
クライミングバイク:16km/h、9分6秒

[300W一定出力]
エアロロード:21.2km/h、6分50秒
クライミングバイク:21.6km/h、6分43秒

実際、登坂で300ワットを維持できるライダーは少数ですが、登りを一本登るだけの特殊なケース以外ではエアロロードの方が有利な場合も少なくないでしょう。それは長い距離の走行では登っている区間はそれほど多くないからです。

同じ理由で現在はバーレーンメリダのアンバサダーをしているホアキン・ロドリゲスは、カチューシャで走っている際にはCANYONのアエロードを好みました。これは彼が苦手とする平坦部分での出力を節約することが出来るからでした。

チームスカイはステージごとにバイクを選択することが出来ませんが、PINARELLOのDOGMA F10はUCI重量制限に近いだけでなく、ペロトンの中で最も空力的に優れたバイクの一つです。

MERIDAの新しいREACTOではディスクブレーキ仕様がリムブレーキ仕様に対してほとんど空力的に不利な点がないばかりか、下りやコーナーに際して安定した制動力を発揮できるため、今後のレースでは有利に働く可能性が高いとしています。

最後に個人的意見を追記(2017/07/17 14:45)

僕も含めた多くの一般ライダーは、かっこいいものに乗りたいだけなので(笑)多少のネガティブはあっても、それを自分の気持ちの中で許せればそれで良いのです。それが一般ライダーだし、非レース層だから。

力がない人と一般ライダーという呼び名を同一集合と捉えがちだけど、実は別ですよね。

その内、一般ライダーでもパワーメーターの装着率は上がると思うので、バイク選びはより正確性を増すと思います。ただし、「その人の好き」を後押しするのが販売側の基本的スタンスなので、それをするかしないかについては買う側がちゃんとインフォメーションしないと買った後で”これじゃない”と言い出す可能性も高くなるでしょうね。それがレース層なら尚の事だけど、その層も”好き嫌い”で買うから結果が意に沿わないことはありがちです。

でも、まずは楽しいことが先決ですから、かっこいいバイクに乗ることでそれが色々な不可抗力を生み、プラスにもマイナスにもなる。プラスがあるからマイナスもあるので、その中のマイナスばかり見てしまうと、プラスが見えなくなる。

趣味ってそういうもんです(笑)

レースレースという層でも、まずは好きなものに、かっこいいものに乗るっていう方が幸せな買い物ができると思います。たとえ、自分のフィジカルポテンシャルをバイクが上回っているとしても、それが自分のポテンシャルよりも低いより余程マシですしね。

ちなみに、今回のテスト動画でエアロロードが速かった理由は剛性によるでしょう、ホイールシステムも含めてです。200Wだとそれに踏み負けます。それと風洞やシミュレーションでの空力効果は別の話ですね。

長くなりますので、続きは店頭で。