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ここ数年で自転車に興味を持った方を中心に、台湾と自転車の関係が知られていない事も見聞きしますので、改めて書いてみました。
ブランド信仰が強いのは日本だけではなく、世界中どこでも同じようにあります。どこで作られた?どこの国の製品?ということが気にされます。ブランドが重視されます。それはかつて、ある国で生産された当該製品が優れていたからであって、その構図が変わってしまって現在では、その”国”は変わるべきです。
かつてはイタリア製、ヨーロッパ製がそのブランドを作ってきました。
一方、メリダは台湾のメーカーです。ジャイアントもその一つです。もう、今から15年くらい前の2003年、彼らは台湾国内のパーツメーカーを巻き込み、低価格・低品質な中国製品を打倒すべく、、改めて台湾が自転車業界を牛耳っていく計画を立てました。それが「A-TEAM」です。
プラットフォームはトヨタ生産方式を導入して、共同で品質管理・研究開発・マーケティングを行います。その目的はこのプラットフォームを通じて共同で自転車産業を育成して、競合環境の好循環を作り出すというものです。また、A-TEAMに加盟するメーカーは研究開発と運営本部を台湾に残さねばならず、台湾で商品のデザイン開発から、Just-In-Time 生産、トータル・ブランド・イメージ向上を行います。
A-TEAMのGMはメリダのCEOであるマイケル・ツェン、会長は前ジャイアントのCEOであるトニー・ロウ、会員にはSRAM、FSA、ZIPP、TEKTRO、ALEXなど名があり、賛助会員にスペシャライズド、コルナゴ、スコット、トレック、スコットなどが連なりました。ゆえ、この時点で台湾が覇権を握る事は時間の問題となりました。
”台湾なしに自転車産業なし”という現在を築きました。
もはや、ピナレロ DOGMA F10も、WILIER ZERO.6も台湾で生産された生地のフレームに、イタリアでペイントされ、価値のあるブランドロゴを纏います。それほどまで台湾製であることは価値のあることになっています。
今や、台湾で生産されないハイエンドフレームはありません。あれば、それはハイエンドではないでしょう。イタリアやヨーロッパに価値がないと言いたわいわけではないことではありません。もはや、台湾なしに彼らの産業はない。立場は逆転したということです。
今後、ヨーロッパメイドであることをどこまで引きずっていけるかは、彼らの価値を維持するのに重要ですが、エンドユーザーはまだまだそれらを欲している現状が続いています。しかし、ここ数年の間にそれはいくつかのブランドにおいてはやや低下していますから、メリダやジャイアントの価格設定に合わせざるを得ない状況も見られています。
メリダやジャイアントでは独自技術を開発し、OEMフレームを生産する規模を維持し、それらを集約させ、自社ブランドへ全面的に投入しています。ヨーロッパのメディアで行われるテスト結果においても、その性能は証明され、”本場ヨーロッパ”において確固たる地位を築くに至りました。
ぜひ、台湾の自転車に乗ってみて下さい。
[参考記事]
■ 台湾メーカーの興隆と低迷するイタリアンブランドの未来(lovecyclist.journal)
http://lovecyclist.me/taiwanese-and-italian-bike-brands/