[リアルインプレッション]MERIDA SILEXシリーズ

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グラベルライドツアーの第2部、MERIDA SILEXのインプレッションをお届けします。

やはりモノの評価をするには、それ相応の場所とある程度以上の時間が必要。その意味でSILEXをちゃんと乗ってインプレした人はまだ居ないのではないか?と思ったのでやってきました。

信州は長野県上田市の極上のグラベルをまる一日、60キロ。

またこの日のガイドを担当してくれた長元坊バイシクルツアーズの飛松さんにもSILEX 6000に乗ってガイドして頂き、その感想を伺っていますので、どちらもお届けします。

ちなみにこの二台、14日まで店頭にありますので試乗することができます。


SILEXを一言で表すなら、”すごく楽にどこでも走れるロードバイク”
これによってオフロードの楽しさに目覚めてくれる人は増えると思うし、オンロードでの走りの軽さに驚く。28や32のスリック付けたら普通にロードバイクできる。かと思ったら、40Cくらいにしてどこでも走れる仕様に早変わり。

安定性がすごい
今日は15%を超えた激坂もあったけど、あれだけハンドル位置が高いのにハンドルがフラつかず登っていけるのに驚いた。他のバイクならウィリーしそうなほどになると、フロントからトラクションが抜けてハンドルが切れてしまう。

リヤのトラクションの掛かりにも余裕があって、センタースリックで雪道もトレイルもいけてしまった。ダブトラの轍をトレースするような登りも大変得意。轍から逃げたり、フラフラしてしまう事が少ない。ということは下りも安定しているということ。上り下りが苦手な人にロードバイクとして乗ってほしいと思うほど。

ロードバイクとしても使えます
盆地を横断し、あっちの山からこっちの山へと走るようなコース取りでは、ロードバイクである事はとても活きてくる。より遠くまで、より速くたどり着ける。マウンテンバイクではより体力がいる。

安定した長いフロントセンターはすべてのシチュエーションで大きな安定を生むので、ロングライドでは普通のロードより気楽に走れるのは間違いない。低速域ではやや切れ込むものの、スピードに乗ってからはむしろ荒れた路面に負けず真っ直ぐ走るので安心できた。

ハンドル位置は高く、下ハンを下りでも登りでもすぐ使えるのも大きな武器
見た目は???というバイクだけど、周りの景色と同化させてみると見栄えは悪くない。何よりもこれまでで最もユーティリティ性能が高いロードバイクであることは、乗る人に大きな機能的メリットをもたらすのは間違いないと思う。

フレームバッグなどユーティリティ性能も加わります
しかも、これにさらにフレームバッグを付けやすかったり、フェンダーやキャリアマウントまであるのだから、死角はどこにあるのだろう?

自転車の基本は旅だと再認識させてくれた、SILEX
悪く言えば中途半端。でも、限られたスペースと時間の中で、何でも出来る1台ほど武器になることも他に無い。普通のロードバイクを買ってできない事がを探して落ち込むより、何でも出来るバイクでまずは楽しんでみることをおすすめします。方向性を絞るのはその後で。

このバイクで唯一できないのはレースライドです。


続いて、飛松さんによるインプレション

SILEX、本当にクセのない、安心感のある良いバイクだった。フレームバッグを考えた前三角とか、しっかり止まるウス式シートクランプ、いろんなところにケージとかバッグを付けられる台座とか、軽いのにしっかりトラクションがかかるところとか。下りに苦手意識のあるランドヌールとかにも良いと思う。

ロードディスクブレーキ、初体験だったけどすごく良い。不要論が不要、とすら思える。制動がかかるのがハブで、タイヤまでにスポークを介することで溜めが生まれて、滑りやすい路面でもタイヤのグリップコントロールがしやすい。MTBだとタイヤが太いから分かりにくいけどこの太さだと明らかに違う。

MTBのものをベースに再構築したというジオメトリー、「そんなのわからないでしょ」と思う人にこそ乗って欲しい。長いフロントセンターが激坂でのハンドルのふらつきを抑え、高いハンドル位置でも重心位置をスイートスポットに収めやすい。上りでも下りでもパシッと安定している。

パシッと、と言うのがポイントで、決して鈍いわけではない。重さを感じない安定感。持論である、「多くの人にとっては、安定感のあるものを思い切って大きく動かす方が結果クイックに動ける」を体現する自転車。見た目ビックリだけどキチンと理由がある。

高く遠いハンドル位置というコンセプトは当たりだと思う。上りもペダリングが気持ち良く、よく上るバイクだった。マキシスで特注したというタイヤも良かった。RAZZO、市販してくれないかな?

苦手なのは高速巡航からのモガキ。つまり現在のロードバイク愛好家の殆どがやらない動き(笑)メリダは世のロードバイカーの多くが本当に欲しい性能の為に何を捨てれば良いかがちゃんとわかってる。

昔から言ってることだけど、ロードバイクを買った人が本当にやりたいことはスポルティーフだ、というのがやっとちゃんと商品に落とし込まれたなあ、という感動があった。「脳内にしかない物語や幻想ではなく、ライダーが今まさに脚で紡ぎ出す物語にこそ寄り添う自転車」。

ちなみに見た目は自分も好みではなかったけど、機能とかコンセプトが求めたデザインであることが腹おちしてみると、むしろ愛おしくすら思えて来た不思議(笑)ハンドル落差は出しにくいけど、不思議と前荷重がかけやすくて落差というファクターについて一から再考を促された感じ。

色んな環境で生きるジオメトリーというものは短時間の試乗では良さが分かりにくい。こうした全く新しいコンセプトを持ったジオメトリーを世に問うにはメーカーとしての体力と芯がないとできない。インデックスを世に出した時のシマノ、フロントシングルの時のスラム、G2を出したゲイリーフィッシャー。