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2019年モデルがそろそろ公開されてきております
メリダも月末頃に公開となります。メリダでもディスクブレーキ搭載車のラインアップがありますので、ご希望の方はご注目下さい。
まず最初に申し上げておきますが、私はディスク否定派でも、リム否定派でもありません。どちらも肯定です。そりゃそうですよね。ただの制動装置ですから、自転車に変わりはないのです。
ディスクで気になること
興味は皆さんあると思います。興味はあるけど要らないという方もいらっしゃる一方では、乗ってみたいとか不安点をまずは解消したいという方もいらっしゃるでしょう。
ディスクブレーキでの代表的な不安点・疑問点を以下のように挙げてみました。
[制動力]
とにかく安定して制動力を発揮できます。雨天時以外にもメリットはあります。悪天候時にはたいへん大きなメリットがあります。初期の製品では”効きすぎる”という課題があったものの、現行製品では改良されており、特に問題なく慣れてしまうと思います。これはサイクリングする際に地味に効いてくることで、使っていない時には「どっちでもいいんだけどね」なんて言っていても、使い始めてしまえば「もう元には戻れないと思う」となるのがオチです。これまでに見られたような”使いたいホイールの制動力問題”に悩まされることはなくなります。ことレースにおいてはあとで書くように色々と課題があるのですが、サイクリング用途に関しては性能的なディスアドバンテージはありません。また、スルーアクスル化によってペダルに荷重した際の反応がわかりやすくなり、また安定し、バイク全体にしっかりと荷重を預けられます。
[タイヤとのバランス]
これは結構大事です。ディスク車を買う際のポイントやノウハウはほぼここにあると言ってもいいでしょう…。23Cでは接地面が小さすぎてピーキーですし、25Cでもやや安定感に欠けますから、ディスクブレーキ搭載車では28C以上が必要になると思います。それくらいあってこそ、大きな制動力を路面に伝達することができ、しっかりと両輪均等にしっかりと荷重をする事ができます。あるいは30Cくらいでも良いケースがあると思いますが、いずれにしてもチューブレスまたはチューブレスレディにすることで走りの軽快さを保ったまま安定性を発揮できます。タイヤが太くなることで先程の軸に乗る感覚は際立ち、コーナーリング時や加速時には安心感が増します。一方、クリンチャーではタイヤを太くしたことやタイヤ構造上のディスアドバンテージが目立つようになるでしょう。なお、チューブラーはもう生きていけないと思います。
[ホイールとのバランス]
リムブレーキではタイヤに接しているいる部分を挟んで制動していたので、それが発揮されるかどうかや発揮しやすいかどうかはタイヤによることがありましたが、ディスクブレーキではそこにホイールも絡んできます。ディスクローターはハブに固定されており、ローターを摩擦により制動するとその力はスポークを伝わってリムとタイヤへ発揮されます。これはすでに幾人かのインプレライダーから伝わっていますが、「ディープリムになるとブレーキの効きがシビアになる製品があった」とのことです。スポーク長が短くなるのでホイール剛性が上がる副作用?でしょう。同じリムハイトでも製品によって制動力がシビアなものとナチュラルでリニアなものとがあるようです。マウンテンバイクでは路面がゆるいことやタイヤが太いことで、その点が強調されることはあまりなかったのですが、ロードになると気になるのでしょう。そのためにも、先程タイヤのところで書いたような性能差?もバランスをとるには大事になってくるということですね。
[重量]
どうしても重たくなります。現在の自転車は大変軽量なので他のパーツとの相殺をすれば、全体重量として大きな差が出ないようにすることはできますが、その分コストは増します。同一コストの場合には、ミドルクラスで500-700グラム前後重たくなるのが一般的です。その程度の重量増によって、乗り手がディスアドバンテージを実感することはないでしょうが、気持ちの上ではややテンションが下がります。ただ、いずれ気にならない程度まで改善されるでしょう。
[お店で行うメンテナンス]
当店に関しましてはもともとマウンテンバイクも扱っていることもあり、ディスクブレーキへの食わず嫌いもなく、嫌悪感もなく、むしろ絶賛使用中です。使い始めてからはかれこれ10数年が経過します。ゆえ、メンテナンスに関わるノウハウは一定以上の蓄積があります。お任せ下さい。
[ユーザーが行うメンテナンス]
ワイヤ式の場合にはユーザー自身がワイヤの交換や調整をするということもしやすかったですが、油圧式ディスクブレーキではその構造の複雑さから、ユーザーさん自身がメンテナンスをすることが出来る範囲は事実上狭くなると言えます。現状、油圧式ディスクブレーキのメンテナンスに長けたお店はマウンテンバイクを従来より扱ってきた店舗になりますので、ディスクブレーキ装備車を購入される場合にはメンテナンスにおいて不便さを被る環境もあるでしょう。そのような環境要因についてはユーザー個々でことなりますので、よく精査されて下さい。あるいは店舗までご相談下さい。
[パーツメーカーの選択]
これまで以上にシマノ有利な傾向になると思います。機械式ワイヤ式であればほとんど不要でしたが、ディスクブレーキになりますと専用工具の類も必要だったり、お店によってどのメーカーのパーツに強いかという傾向はより出てくると思います。また、リムブレーキではちょっと風変わりなブレーキアーチなどが見られましたが、動作互換性・安定性などの理由からそういったパーツが入り込む余地はほぼなくなります。
[今後の流れ予測]
リムブレーキが完全になくなることはないと思います。今現在、ディスクブレーキロードを積極的に欲しい方は思ったほど多くはありません。それは面倒臭そうだったり、よくわからないからと言うことがあると思います。買い替えを伴いますし当然でしょう。また、スルーアクスル等での剛性向上はあれど”ブレーキが効くだけ”であるのは間違いのないところなので、”今あるものでやりくりすればOK”という感情も理解できますし、ライトユーザー層にとっては面倒くさいだけに見えてしまうのでしょう。レースシーンでは現在ではリムブレーキ搭載車の方が多いので、それを使うことで得られるアドバンテージがありますが、段々とそのシェアが推移するにつれて、それが逆転するタイミングが来ます。レースは機材で戦うのではなく、人間が戦うものです。ゆえ、周りが使えば使わざるを得ず、自分だけ使うのは良い選択ではないだけです。
バイクの販売台数シェアの移行にやや先行する形で、販売されるパーツ類のシェアが移行してゆくことになるでしょう。ディスクブレーキ車をよく見かけるようになるのは2020年位で良くて全体の50%くらいだと思っています。ですから2019年あるいはその翌年に関しては、一気にディスクが増えてリムブレーキでは急に不便になってしまうということは無いと思います。ただ、周囲が徐々に変化する中で、”使い続けることで発生するデメリットやディスアドバンテージ”が段々と大きくなっていくでしょう。ただ、繰り返しますが最終的にリムブレーキがなくなることは無いはずです。ゆえ、買い替えを急ぐ必要はありませんし、中古パーツ市場等も含めればしばらくの間は乗っていられますから、2019年はどちらでも選べるという状況かと思いますし、私はあと5年は問題ないと思っています。ゆえ、リムブレーキ車に乗っていると追い込まれるというより、徐々にディスクブレーキ車を利用しやすくなる程度ではないかと思います。