燃料が切れてしまうと人は痩せてしまう

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燃料切れに要注意
クルマは燃料が切れると止まってしまうんですが、人間はその後も動き続けることができます。ただそれは”リザーバータンク”を使っているからです。それは筋肉自体を分解し、動くための燃料にしてしまいます。

筋肉を失うのって簡単です
40代以降は1%/年のペースで下肢の筋肉が減少します。女性はもとより少ないので、同量減少した場合の影響が大きいですから、女性の方が高齢になると早く歩けなくなったり、腰が曲がったり、膝が悪くなるなどの症状が現れます。ロングライドにおいて、燃料切れの状態で頑張れば頑張るほど筋肉を減らしています。ライド後に体重を計測し、失った水分量と筋肉量を見て喜んではいけません。70kgの方で1.5kg以上減少があれば完全に脱水ですし、それ以上減っていたらとても危険です。筋肉は失うのは簡単なんですが、つけるのは時間がかかります。痩せ型の方は2回/週、普通の方は1回/週の筋トレを忘れずに。

筋肉は姿勢維持に使うもの
筋肉は運動をするためのものだと思われがちですが、筋肉は人間が姿勢を維持するためにも使われます。むしろそれがメインコンテンツです。ゆえ、筋肉量の減少は正しい姿勢の維持を不可能にします。腰痛を代表とする疾病の原因としては大きな要因です。自転車に乗る際のフォームも姿勢維持の一つです。ゆえ、筋肉量が少ない方の方が良いフォームを維持できず、後半に垂れるという事が起きます。家を出た直後はみんな元気ですけどね。筋量が少ないおばあさんにまっすぐ立って歩けと言っても無理なのと同じです。筋肉量が少ない人が全て遅いとは言いませんが、筋肉を増やすことは近道であるのは間違いないということであり、減らすこと(無意味な減量)に良いことはありません。肥満の方には痩せて頂く方が良いとは思いますが、その痩せ方(体重の減らし方)にお気をつけ頂いた方がいいということです。脂肪を減らすと筋肉も減り、筋肉を増やすと脂肪も増えるのですが、出来るだけそのバランスを良い方向にもっていきたいところです。順序はまず序脂肪体重を増やすこと、そして筋肉をできるだけ失わないようにして脂肪を減らすことです。

身長に対しての体重とその考察
身長が高くて自分と同じ体重の人がいると痩せてていいなぁと思うかも知れないけど、彼と同じ体重までは筋肉を増やしていいという事になります。背の低い人は絶対に筋肉を付ける前に痩せてはいけません。ただ痩せたら確実にパワーダウンします。背の高い人は大きな筋肉を持っている傾向があります。それをまともに使われたら、小さい人は窮地に追いやられてしまいます。

エビデンスは見当たりませんが、アスリートの場合には背が高い人は痩せている傾向があるでしょうし、背が低い人にはその逆もあります。また背が高い人は脚が長い傾向がありますし、筋繊維も長くなります。だから、背の低い人がそれに対抗する手段はダイエットではありません。むしろ、痩せている(体重が軽い)人は筋肉が付きにくいか、体脂肪率が高いものと推測できます。

もちろん、背が低くて痩せやすい(筋肉が付きにくい)人もいるけど、それは一番大変でしょう。現代ではBMIは低いが、体脂肪率の高い人が増えています。国立がんセンターによるデータでは、BMIが標準よりも低い人のほうが高い人よりも死亡率が高いというデータがあります。これは低栄養と低筋肉量によるものだと考えられています。

筋肉中に貯蔵できるグルコースは肝臓より多いので、そのタイプ(筋肉量が少ない)は長い練習が苦手でしょうし、そういったケースでの練習の成果を上げにくいでしょうし、それが原因でまた痩せてしまう(筋肉を失う)はずです。誰かに痩せてていいね!などと言われていい気になってる場合ではありません(笑)

ライド中に食べるもの
”○時間以内なら補給は要らない”という基準については時折聞きますが、ライド後のことを考えた補給という話はあまり聞きません。クルマでもガス欠で帰ってきてしまえば、次に走ることができなくなります。人間は食べれば勝手に回復するものですが、疲労というのはガス欠やそれに近しいで走っている状態の時に大きく蓄積し、ライドが終了した時点からその疲労を回復させようとします。その際に燃料が無いと、回復が滞ってしまいます。

走行後の回復を考えればゴール3時間前までの固形物(ジェル等も含む)に意味はありますが、むしろ走行中の事だけを考えればあまり意味はないだろうと思います。ジェルなら15分後から小腸に送られはしますが、バナナであれば1時間はかかるでしょう。吸収するまえにゴールしてしまったらパフォーマンスを落とすだけです。

もし、ライドの後半に食べずにいたようなケースならば、ライド終了後にジェルを一個食べておきましょう。無論、タンパク質の摂取も忘れずに。

補給は最重要項目
こういう事を書くと「レースしないから」と言われることもありますし、また軽視される傾向もありますが、どんなライドであっても体力はあればあるほど楽しく、疲労は無いほうが楽しめますので、補給と疲労回復についてはどのような方のどのようなライドであっても最重要視されることをオススメします。

練習の成果や良い機材の性能を発揮するには、体力と補給があってこそです。