オーバーホールとはなんぞや

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オーバーホール(OH)って大掛かりな掃除ではなくて、ドックに預けるってことです。つまり、消耗度合いで納期も変わるってことです。ロボットアニメなんかでドックに入って「おい、もうこれ使えねーぞ交換しとけ」みたいなのがあると思いますけど(ないかな?)、それです。

普段メンテをしておくことで部品の寿命を伸ばすことが出来ます。メンテナンスの意味は≒維持管理。
OHとは
・普段の維持管理で出来ていない部分
・やりきれなかったこと
をまとめて行います。

人間ドックに近いでしょう。
ドックで延命は出来ませんが、病気にかかっているかどうかはわかりますし、これまで自分の身体に対して行ってきたメンテナンスの是非が判明します。良かったことや間違っていることがわかります。病気になっている場合には、そこから治療が始まります。つまり、「オーバーホールさえしとけばいいんだ」という感覚がどなたかにあるなら、それは間違っていると思います。

OHでは消耗した部品の有無もチェックします。OHとして承る場合には、出来る限り新車に近づけるというコンセプトのもと、それら消耗した部品の交換も提案します。消耗した部品は掃除をしても元にはどもりません。むしろ、寿命を迎えれば交換する、いや出来るのが部品のメリットです。そういった事が余計なお世話である場合には、「掃除だけして」と言って頂ければ控えますが、メカ的に好ましい状態でお渡し出来るかどうかは保証しかねますことをご理解下さい。つまり、程度問題はありますが病気を見逃すということです。

掃除の部分に関しては汚れが酷いほど手間がかかり、基本工賃を圧迫します。基本工賃として頂く額の中を占めていきます。結果的に基本工賃内で収まらないケースも出てはきます。

なぜか一部の(多くの?)自転車店ではOHをオールインワン価格でやってしまっているケースが多いのですが、やりきれないことをやらないか、無料で無理して行うかの2択になるのでしょう。どちらを選べるかはその工賃設定次第なのでしょうけれど、後者はタダ働きになってしまうのでありえないんですが…やっている様子は見かけます。その結果、いくつかのことをユーザーが学ぶ機会を失わせるので良くないと思っています。つまり、日頃のメンテナンスの大事さ、そのコスト、そして役割や意味についてです。結果的に走行中のトラブルを予防するにはどちらが良いのか?ということは考えたいところです。

ちなみにシェアの高い105クラスについて言えば、樹脂のプーリーは1000円もしないので、ちゃっちゃと交換したほうがいいレベルです。チェーンリングも6000-7000円なので、チェーン寿命を伸ばすためにちゃっちゃと交換するべし。105ってそういう運用ができるグレードです。つまり、下手に手間を掛けて掃除するより交換したほうが安いと言えます。

シマノ基準ではチェーンが最大5000キロ程度と見積もった場合、チェーン2回交換でスプロケット、スプロケット2回交換でチェーンリングの交換を推奨しています。頻度が多いように思いますが、そんな事はありません。十分に交換が必要になる距離でしょう。むしろ、それを怠っていたり、見て見ぬふりをされているメカニックが多いだけだと思います。特にチェーンリングやスプロケットの過度な使用はチェーン寿命を縮めます。チェーンを切るなどのトラブルは、以前はピンでの接続ミスもありましたけど、今はほぼ使いすぎてる&使い方が良くないケースが多いでしょう。

最終判断はお客さん自身で行っていただきます。私はオススメするだけですし、その理由をロジカルに説明するだけです。やるべきことはやるべきとドライにいうことはメカニックとしての仕事でありますが、セールスサイドに寄ったポジショントークをするなら、「まぁ、換えなくても走れますけどね」という事でしょう。その辺りはお客さんのニーズを勝手に解釈する人もいますけど、私はそれも言語化して伝え、その上で選択肢を提供しています。つまり、どっちが良いか、どうするかをご自身で納得した上で決めていただくようにしています。

オーバーホールは随時受付中です
納期は7営業日前後を目安に頂きます。早く終わればすぐにお知らせします。ビジターさん向け基本工賃は32400円です。