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今年は色々なことが起きすぎたように思いますが、それ以外についてはいたって平和で、昨年と比べるとむしろ平穏さすら感じます。何も起きない恐怖というんでしょうか。むしろ、何もしなくていいのか?という思いがあります。
まさか、昨年の大晦日から新年にかけては、今のような事態に陥るとは全く考えていませんでしたが、1月半ばから2月には色々なケースでの想定をし始めました。想定できない事態になった場合や恐怖を感じる場合には、自ら動かないといけません。動くタイミングを伺うより、動き出すことのほうが大事だと思います。それはちょうど、クルーズ船の騒ぎの頃です。その色々な想定のもと役所のウェブサイトを調べていると、さっそくコロナ対策関連のドキュメントや支援策のことが掲載されていたので、2月に動き始め、緊急事態宣言の頃には動き出したことの目処が立ち、さらに6-7月にも手を打ち、なんとか1年間を生き抜くことができました。
爆発的な需要増、そして枯渇した自転車供給
今年は大変奇妙な年でした。ある程度の行動制限や社会的距離の確保があり、これまで前例がないほどサイクリングに対する需要は世界的な規模で高まりました。なんと現在、完成車から細かなパーツに至るまで、需要が供給を大幅に上回ることで、納期は数ヶ月単位で遅れることは日常となっています。今から完成車を注文する場合、3〜6ヶ月待ちは少なくありません(すぐに手に入るものもあります)。この急激な需要増がいつまでも続くわけではありませんから、これを機に増産できる体制は整えないでしょう。時間とともに解消されるまで続くと思われますが、かつてない事態ゆえ、いつまで続くのか先が読めません。
世界は低速へ
市場の動向は数年早送りされたと言えます。特にEバイクに対する関心はCOVID-19以前の世界でも急速に高まっていましたが、それはさらに加速し、もはや元に戻ることはないでしょう。スペインのビルバオ市は市内全域で30キロ規制にする法律を可決しました。人口30万人が住む都市ビルバオ、現在でもその87%が30キロ規制ですが、これを全域に拡大するというのは世界初の試みです。人口密度は府中市と同じくらいで、人口は4万人くらい多い工業港湾都市ですが、高層ビルも多くあるので、都市の位置づけとしてはもっと大きな位置になります。都市再生においてはグッゲンハイム美術館の成功により、都市創造プロジェクトではもっとも成功した事例として有名です。事実上はバスク州の首都で、都市基盤の再整備を行っており、これはその一環です。
パリに一夜で出来た自転車レーンの話も有名ですし、ミラノでもゾーン30、ゾーン20のエリアは拡張されています。その他、オランダでも市内の制限速度を時速50キロから時速30キロに下げる法案が議会で承認されましたし、ブリュッセルではコロナ禍に運用されてきた市内全域の時速30キロ規制を2021年1月以降も本運用する決定がされました。ゾーン30の発明後、市内の路地において通行速度を遅くしようという試みや政策は、この日本にまで!訪れ、”一応は”ゾーン30が存在しています。全く認知されていませんし、圧倒的に2周半以上の周回遅れになっている日本ではありますが、世界はどんどん短中距離移動の低速化を進めています。なぜなら、時速50キロと時速30キロでは、歩行者が死亡する確率が大きく減るからです。
これまでは単なるフィットネスやスポーツだったサイクリングは、フィジカルとメンタルの健康面に対するインセンティブの増加や余暇の理想的な過ごし方として、大きなウェイトを占めていくものと思われます。むしろ、自転車であるところに存在していたロードバイクなどの速い自転車は自動車と同じ側に回り、都市部での運用が不便になることでしょう。もちろん、重量は自動車と比較して軽いので、衝撃は圧倒的に小さいのですが、自転車だけ速度を許されるということはないでしょう。これは私の予測でも嘘でもなく、いま欧州で現実に起きていることです。単に自転車をいっぱい売りたいからではなく、モビリティ革命の中で進行してきたこれまで数年のアクションはCOVID-19によって加速され、シェアの移動がものすごい速度で進んでいるのです。競技車両としての存在や楽しみは継続されるでしょうが、そのシェアは縮小するでしょう。それに代わって、もっと楽しく走れるEロードバイクやEバイクは、これまでよりも多くの人に大きな楽しみを提供し、CASEやMaaSといったモビリティ革命と同時に変革を迎えます。
今後はこれまでよりも多くの方に自転車を楽しんで頂ける世界が待っています。楽しく自転車を満喫しましょう。
1年間ありがとうございました
皆様の温かいご支援やお声掛けのお陰です。心より御礼申し上げます。
今年1年、私のワガママにお付き合い頂きまして、ありがとうございました。心より感謝申し上げますとともに、皆様の健康と益々のご発展を願い、本年最後の挨拶とさせていただきます。
誠にありがとうございました。来年が皆さま一人一人にとって楽しい年になりますように願います。