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目次
SCULTURA TEAM(CF5)
SCULTURA TEAM
1,320,000円
SCULTURA CF5のフレームにR9200DURA-ACEを搭載した、バーレーン・ヴィクトリアスチームがレースで使用しているそのままの仕様
SCULTURA 9000
946,000円
チームモデルと同じCF5グレードのフレームにR8100 ULTEGRA 12S Di2のコンポーネントを搭載したモデル
これまでSCULTURAは絶対重量としての軽量性の追求に加えて、モデルチェンジを重ねるごとに振りの軽さであったり、反応性の素早さであったりと、クライミング性能を高める方向へ向かってきました。その為、REACTOの存在しうるエリアは広がりましたが、ある方向に特化してしまったことで苦手な分野もできてしまいました。2021モデルではややその反応を穏やかにしたものの、それまで培った性能の方向性は健在でしたから、私のようにフィジカルの及ばない人が乗った場合には過剰な反応性を見せたりということがありました。
2022モデルについて、乗るまでに間に色々な想像を巡らせたのですが、これまでのような反応性の良さをより進めるとは考えにくく、また形状から推測するにも、REACTO的な性能を備えるのではないかと考えていました。そうなると、リアクトとの境目がどこになるのか、どのようになるのか、それを気にしていました。おそらくは、開発にあたっていくつかの選択肢があったでしょうし、それはさまざまな意見によって築かれたものだろうと思います。
第一印象はCF3よりもコンフォート、しかし力強さを感じます。回し始めは優しそうですが笑、その先まで踏み込むと芯があります。剛性は2021年モデルよりもやや低く設定されていますが、奥の方まで踏んでも「このフレームはどこまで踏めば使い切れるんだろう?」と思いました。ただ、2021年までよりもペダリングはしやすくなっており、それと比較して加減速をスムーズに行うことができると感じました。SCULTURAらしい早いペダリングをし続けやすく、出力を維持しやすいと思います。振りの軽さは健在ですが、フロント周りの剛性が素晴らしく整っているので、軽さに伴う華奢さはなく、またこれまでの硬質な軽さではなく、しっとり軽いという不思議なバランスに感じました。
SCULTURA 4000(CF3)
第一印象は「おおお?進むじゃないか…」。いや、ペダルを回せば前へ進むのですが、これまでのSCULTURAとは少々印象が違います。これまで進むというか、ペダルは軽快に回るけれど、ギアがかかる感じは薄く感じました。だから、SCULTURA CF2フレームは私には正直“ヤル気になれないフレーム”でした。
概要から言えば、今回のSCULTURA CF3フレームは、CF2のような乗りやすさを備えつつ、その力を乗り手がバイクを前に進めるために使うことを容易にするフレームだと感じました。そして、はっきりとレーシー。
ペダリングのリズムはCF2と変わらぬ印象で、ソフトな印象です。しかし、明確な違いがあります。変わったというか、まさに進化したという表現が適切だろうと感じました。2021年までのCF2では乗りやすさを重視したように感じたので、ちょっと力強くトルクをかけたり、あるいはちょっと早くペダリングして出力を上げた際には、どうしても力が逃げてしまい、前に進む感触が薄かったと思います。急峻な坂道で立ち漕ぎなどすると撓みが大きく、むしろシッティングの方が進むのでは?という印象でした。剛性が低いフレームにありがちなことで、丁寧にペダリングする必要がありました。これは私のペダリングスキルが稚拙だからかも知れませんが、同じように感じる方はいるでしょう。
それに対して、2022年モデルのCF3では、シッティング時のペダリングのつながりがスムーズで、それをより前への推進力に変換していると感じました。この違いはとても大きく、比較のために2021モデルのCF2搭載モデルにも乗ってみたのですが、全然違いました。そこからさらに力強いトルクをかけたペダリングをした際にも、ちゃんと受け止めてくれるだけの剛性も備えていると感じましたし、ケイデンスを上げつつトルクをかけてもちゃんと前進む。「あー、これはレースで使えるじゃないか…」。ただフレームが硬いのではなく、できる限りの乗りやすさは備えているので、レーシーではない踏み方をする場合についても、過剰な性能とは感じず、スムーズなギアの繋ぎで加速するのを体感できると思います。これはなかなかのフレームです。買った方がいいです笑
4000以外のラインナップ
SCULTURA 5000
352,000円
SCULTURA 4000と同じ、CF3グレードのフレームにULTEGRA機械式シフトのコンポーネントを搭載したモデル
SCULTURA RIVAL-EDITION
495,000円
SCULTURA 4000と同じ、CF3グレードのフレームにSRAM RIVAL AXSのコンポーネントを搭載したモデル
SCULTURA 8000
698,500円
SCULTURA 4000と同じ、CF3グレードのフレームにR8100 ULTEGRA 12S Di2のコンポーネントを搭載したモデル
CF3とCF5の比較
CF5はプロ選手仕様モデルだけあって、より大きな力とトルクを伴った上で推進力が得られるようになっているので、自分のフィジカルがきつい状況になった際、回しやすいのはCF3だろうと思います。剛性はCF3よりも高いのですが、一見するとCF5もCFと同様に軽く進むよに思えます。ですが、私のパワーでフレームをしっかり使って前に進めることができたのはCF3でした。CF5は使いきれないポテンシャルを秘めています。しっかり回せる人、またある程度しっかりと距離や時間を乗り込んでいたり、そのなかで訓練・練習を伴って向上心をもってトレーニングする方が乗ると満足を感じやすいと思います。CF3のポテンシャルもかなり高く、“ミドルグレード”にこのクラスのフレーム設計がされたことは、リアクト同様に衝撃だと思います。
幅広いユーザーが自分のペダリングをすることができるでしょうし、4000グレードのフレームでもアマチュアライダーによるレース全般にしっかり対応できると思います。これは2021年に新しくなったリアクトのCF5およびCF3の関係性と同じく、2021年モデルのSCULTURA CF3フレームは、単に乗り手が発揮するパワーやトルクの違いに対応し、“この価格帯でこれが買えるのは脅威“だろうと思います。予算が許せば、8000グレードのULTEGRA Di2使用相当は大変望ましいですが、4000グレードであってもなお、「このフレームを買うのだ」と思うには動機十分であり、買って損なしと自信をもって言えます。
REACTOとの比較
やはりREACTOとの比較は気になると思います。外見を比較すると、やはりREACTOの派手さはSCULTURA以上で、それをカッコ良いと思う方もいらっしゃると思います(否定的な意味ではなく)。中身の方に関して言えば、REACTOの方がより太いトルクをかけるペダリングにフィットするのではないかと思います。どちらが硬いか柔らかいかというのは難しいと思いますが、よりイージーなのはSCULTURAでしょう。その意味をオールラウンドと表現するのでしょうし、乗りやすさともいうのだと思います。具体的に言えば、加減速を繰り返す場合にはSCULTURAの方がしやすく、ペダリング時にゆっくりとトルク感をより感じたい方はリアクトが適しているかも知れません。
SCULTURA ENDURANCEとの比較
SCULTURA ENDURANCEは新たに開発され、2021年モデルから新しくデビューした、レースモデルでのSCULTURAに対して、SCULTURA ENDURANCEはENDURANCEの名の通り持久的な、耐久的なライド目的に適した性能に寄せたSCULTURAです。私は普段REACTOに乗っていますが、新しいSCULTURAはそれよりもイージーで、反応性が良く、オールラウンドな乗りやすさを感じました。「レースバイクってやっぱ楽しいな!」と思いましたし、気難しさが少なめなので、「これ欲しいかも!」とも思いました。しかし、今の年齢、そしてレースっぽい走り方からの引退(笑)を考え、速く走るにも“身体がついていかない”こともあり、SCULTURA ENDURANCEの懐の広さも魅力だと感じました。やはり自転車は他の持久系スポーツと同じく、“楽しく苦しむ”のには継続的な苦しむ行為が欠かせません。つまり、乗り込んでおく必要があります。生活の中で割くことができる時間が少なかったり、不安定だったり、その先に目標が見つからないなどのケースではモチベーションを維持できず、“もっと気楽に乗りたい”と思うはずです。そのようなケースではSCULTURA ENDURANCEの安定感と乗りやすさに寄せた性能は魅力的に映るのではないでしょうか。
まとめ
新しいSCULTURAは各グレードともにこれまでと同じペダリングリズムと許容量を備えつつ、その力をより推進力へと変えていく、よりペダリングを繋ぎやすい、そんなフレームになっているようです。テキストだけ見れば、どこかメルヘン的で、ロマン主義的で、まるで夢のようなことを言っているように思うかも知れませんが、2021年までと比較して、真にオールラウンドモデルへと進化したその真偽あるいは、感じ方については、12/4からの一般公開および試乗予約開始以降に、ぜひ実際に体感してみて下さい。