[コラム] ドロップハンドルの下ハン問題

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タマゴ屋 on Twitter: “下ハン使わない人、意外と多い。コレは山の下りに限らず、緩斜面や平坦でさえも。せっかくのドロップハンドル、色んなところを掴もう〜 / Twitter”

下ハン使わない人、意外と多い。コレは山の下りに限らず、緩斜面や平坦でさえも。せっかくのドロップハンドル、色んなところを掴もう〜

握る?握らない?

長年サイクリストで有り続けている方にとっては「またですか?」という問題ですが、とっても大事なのです。わからない人に説明しますと、世の中には”下ハン必要だろ派”と、”いや別になくてもいいだろ派”という2つの派閥が存在しまして、血で血を洗う戦いを長年繰り広げているわけです。つまり、内戦ですね。もはや、内ゲバと言っても良い。

つまり、必要だということは、不要であるし、そうして存在してきた人そのものを否定したことになるという反応を得るわけですが、普通に考えて必要でしょう?というやり取りがあるわけです。

ぼくは頑なになった人を緩めようという無駄な努力をしたいわけではありません。なくていいと思っている人は、これからもそのままでいいと思います。しかし、これからの人、まだ頭が緩い人に届けばいいということを考えています。なんでもそうですが、最初の2年くらいのスポンジが水を吸える時期にちゃんとした情報を入れておくと良いと思いますよ。

論理的に考える

こういうことは理屈で考えたほうが、結果を出しやすいと思います。運転免許を取得する際に、シートの角度をどうするとか、ハンドルバーのどこを握るというのと同じです。こういうときは感覚ではなく、理屈が良い。

地面からの高さが同じなら、ブラケットより下ハンのほうが当然安定するので、ヘッドチューブの長い自転車が出てきているわけです。安全ならどっちでもっていう声はあるけど、安全ってその瞬間の結果論なので、どっちも握れるポジション出しておき、行動できる選択肢を持つのにネガはないと思います。つまり、握れないことを最初から目指すものではないだろうと思います。あくまで握れるべきで、それがなくても暮らしていけたなら、それはそれでいいでしょうと思います。

下を握ることができる≒より安全を実現しやすい

この長元坊のトビさんが、ぼくの投稿に呼応して書いてくれたスレッドはよくまとまっていると思います。

長元坊バイシクルツアーズ/飛松巌 on Twitter: “デメリット1、握る位置が低くなるので、荷重が前に寄る2、前傾が強くなり、視界が狭くなる3、上記のバランスを取るために、ブラケットポジションよりも高い柔軟性と体幹の筋力が要求される / Twitter”

デメリット1、握る位置が低くなるので、荷重が前に寄る2、前傾が強くなり、視界が狭くなる3、上記のバランスを取るために、ブラケットポジションよりも高い柔軟性と体幹の筋力が要求される

長元坊バイシクルツアーズ/飛松巌 on Twitter: “この、デメリットの3のストレスに耐えることが難しい時に、下ハンドル不要論が顔を出す。しかし、よく読み直して欲しいのだけどメリットの3つは全て「安全性」に直結する要素であって、速さはその結果として付いてくるもの。 / Twitter”

この、デメリットの3のストレスに耐えることが難しい時に、下ハンドル不要論が顔を出す。しかし、よく読み直して欲しいのだけどメリットの3つは全て「安全性」に直結する要素であって、速さはその結果として付いてくるもの。

大事なことは絶対高さの低さではなく、下を握ること

ロードバイクあるあるとしては、最初から下ハンを握らない想定をし、ブラケット位置を低くしてしまったがため、ドロップポジションがとても低くなり、結果として握らなくなるというもの。

そうではなく、下ハンを利用することで上にあるトビさんのいうメリットを活用でき、それは大変大事ですから、メリダで言えば、SCULTURA ENDURANCEやSILEXのようなロードバイクが出てきているし、それに乗ったほうが合理的で安全である人もいるのでは?ということです。

一部のレーサー系の人が書いたテクストを読むと、ヘッドチューブが長いの悪いことで、かっこ悪いという言説がありますが、あくまでも目的に沿った道具選びとポジションの獲得というのは大切です。

伝えたいことはまだまだある

現在は、お店と人々の繋がりが希薄になっているので、当たり前のことが伝わらない機会が増えたと思います。「わからないことがあれば買ったお店」へというのは、昔話みたいになっていますね。

昨日は鳩を避ける話をお客さんとしたんです。ありますよね。何かを踏んづけそうになったとき、そのときどうするか?と。その方は避けるとおっしゃっていたのですが、ぼくの意見は最終的に踏む選択をするけど、そこまでに何ができるかで考えると言いました。はい、踏みます。石だろうと、枝だろうとう、生き物だろうと、どうしようもなければ踏む。車で道路を走っている際に生き物を踏みそうになったときと同じです。合理的な選択肢を前もって考えて想定し、それを練習しておかないと、いざというときに何もできずに慌てることになってしまいます。

もちろん絶対はありませんが、安全を実現する際の合理的な選択について話す場合、相手方が過去にとった行動に忖度したら言えないことが多いと思います。それを言えるのが個人店主で、いわゆる店員さんは組織の体を気にするのであまり言えない方が多いんではないでしょうか?

安全な走行を実現するためのロードバイクのカリキュラムがあるならば、「下ハンを握れるようにする」は必ず入るでしょう。握れない場合、結局はポジションが出てないということなので、下ハンが上手くない人はペダリングもあまり上手くない可能性は高いかと思います。

ポジションとは手や足を置く位置のことではなく、ダイナミックに運動をすることそのものを指すので、同じ位置に手や足を置いても、それで乗れてる状態を作れるかというと足りないのですよ。ゴルフクラブや野球のバットを振るのと同じです。握り位置は運動の質が起点になり出てくるものです。

ですから、初めて購入した際にポジション出しは無理で、その必要もありません。まず「痛くないくらいの範囲でバット振ってみ?」で良いのです。サドル高をざっくり出し、苦しくなさそうなくらいの姿勢で良いのです。その先で「上手く当たらないんですけど、教えて下さい」まで到達したら、「よし、じゃあ」とコーチが立ち上がるわけですね笑

と、まあ元選手じゃなくても、真剣にペダリングしたことがある人は、このくらいのことはわかってやっているので、近所のお店のちゃんとしたことが言える店主に聞いてみると良いと思いますよ。そして、そういう店で自転車を買えばいいと思います。