[コラム] シマノの新型カーボンホイールを買いますか?

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ぼくはぼくなりの価値観で

シマノの新型カーボンホイールについては、ほんとうにたくさんの情報が出ていますね。でも、どれも似たりよったりだと思いませんか?というわけで、より主体性のある、ぼくはぼくなりの価値観で、今回の製品群についてお話したいと思います。

3種類揃えた

このたび、シマノは3グレードのコンポーネントに合わせたホイールを発表しています。
特徴は
 ・すべて素材はカーボン
 ・安い
 ・リムハイトは高め
です。

相当にキャッチーなんですね。シマノはこれまでも、たまにこういうことをしてくるんですが、今回はちょっと極端だなと思い、気になっています。

まあ、基本的にシマノは、うまい!やすい!はやい!みたいなブランドですし、ホイールではそれが顕著なので、順当といえばそうなんですが、ちょっとやりすぎだと思うんですよね。それだけに勘違いした期待と、その期待に最大限忖度したセールスが実行されているのが気になっています。

ラインナップは以下の通り。

WH-R9270-C50 TL
価格/F:107,690円、R:125,840円
カタログ重量/F:674g、R:787g(合計:1,461g)

WH-R9270-C36 TL
価格/F:107,690円、R:125,840円
カタログ重量/F:620g、R:730g(合計:1,350g)

WH-R8170-C50 TL
価格/F:72,600円、R:84,700円
カタログ重量/F:698g、R:872g(合計:1,570g)

WH-R8170-C36 TL
価格/F:72,600円、R:84,700円
カタログ重量/F:657g、R:831g(合計:1,488g)

WH-RS710-C46 TL
価格/F:60,720円、R:63,250円
カタログ重量/F:719g、R:893g(合計:1,612g)

WH-RS710-C32 TL
価格/F:60,720円、R:63,250円
カタログ重量/F:665g、R:839g(合計:1,504g)

もうアルミはいらないの?

要はそういうことですね。そもそも、シマノは自ら新しい価値観を提供するのが苦手なメーカーなので、自分たちにできるのはエンジニアリングなのだと割り切っておけばいいのです。まあ、シマノはコンポーネント以外のセクションではシェアの低いブランドですから、社内的には「もっとがんばれ」になるのでしょうけど、その開発は数年ごとにリセットされ、また新しさよりは焼き増し間の濃い方法が一般的です。これまでで最も売れたシマノのホイールはWH-R500シリーズとWH-7800シリーズでしょう。7700や同世代の下位グレードもまあまあでしたが、目立つほどではありません。ですから、実はシマノのホイールに対する評価の定量化は結構難しい。経験で語るにも数が足りなかったりします。

と、いきなりネガティブ感の高いテクストになってますが、落ち着きましょう笑

ぼくは結構シマノを使っている

ぼくは結構シマノのホイールを使っており、販売する際もおすすめしています。なぜなら、たくさん使うには便利な点があるからです。

 ・価格が安い
 ・組み替えが安い
 ・サービスは一定期間は安心
 ・サービス拠点が圧倒的に多い

こんな利点があります。価格が安いのはずっと同じで、シマノのホイールには新しさはありません。単に、まあまあ使いやすい性能で、壊れなくて、壊れても安心で、安い。それだけです。”優等生”と書くと良さそうですが、得てして優等生は目立たないものです。果たして、自分がなりたいのは優等生なのか?と考えてしまいます笑。でも、シマノのホイールの価値はそこあるのです。使った感触はとても普通です笑。なにか、ホイールに官能性や物語性を求める方には別のメーカーをおすすめします笑。軽さもあまりありません。本当です。

サービス期間については、販売が終わるとアフターサービスが薄くなり、最後はなくなるとネガティブ要素として挙げられます。しかし、5〜8年くらいあるわけですから十分でしょう。これで不十分と言われる場合には、シマノ以外のものを買うほうがよいと思いますが、海外から直接買ったり、新興ブランドだったり、あるいは小さな代理店の製品と比較すれば、シマノのほうが圧倒的にサービス体制に関するポテンシャル評価は高くなると思います。シマノはコンポもホイールも基本的には道具であることが良さです。使えば使うほど、価値を体感できると思います。

エアロ全盛

文字通りです。エアロ形状のフレームやらパーツやらは、拡大というより行き渡りの段階に至っており、トップブランドではその先の段階へを目指しています。エアロによるマーケティング戦略で問題なのは、エアロは外形状であるといことです。つまり、同じ形状にすれば、性能は同じであるといえるということです。トップブランドが時間と苦労(つまりコスト)をかけて解析した結果を、実にカジュアルにコピーされてしまうので、「どれも同じじゃないか」というように見えてしまいます。とはいえ、実際には外形状のコピーにすぎないために”乗り味”はコピーできていません。ですから、乗り比べてみればその世代差や性能差は出てしまいます。しかし、世の中はまだまだ”映え”がバリューだと思っているので、十分に価値を感じられるわけです。でも、そろそろピークは過ぎただろうと思います。

また難しい話になっているなと思われるでしょうけど、ぼくはこういうやつなのです笑。そして、工業製品に対してはこういう価値観によるみかたもあります。単にスペックだけ読ませ、価格を与え、パッケージとして優れていることを”良い製品だ”というばかりが批評ではありません。まあ、はっきりいえば今回のこの製品群には目新しさはありません。それがシマノのホイールの良さです。

過渡期という考え

ぼくはそろそろ、エアロは過渡期に入っているだろうと考えています。まあ、ぼくだけじゃないでしょう。言わないだけです。ただ、明確にエアロな製品は低価格化しており、コモデティ化しています。むしろ、若年層ほどその影響を受けており、大人はスチールやチタンへ向かう場合、あるいは別の個性を求め始めています。総合的には、モノではなく、体験や目的を達成する道具としての価値へと至っています。その意味で、今回の製品群は良くも悪くもシマノらしい。つまり、シマノの製品の良い部分がたくさん出ている。道具としての良さもあるし、いつもの単調さもまた出ている。その意味では、これまで同様にコンポーネントのようなシェア拡大を狙える製品ではないだろうと思います。つまり、一時的には売れると思いますが、あくまで道具として使うことに価値を最大化できるブランドがシマノなので、飾るなら別のものが良いと思います。この時期にいたり、シマノがこのようなホイールをリリースした意味として、エアロな潮流は一般的になったとも言えますし、もう特別ではなくなったと言えるでしょう。

多様化

現在、ロードバイクは多様な広がりを見せています。以前ならば、公道で、かつ舗装路でレースをする際に使う道具というだけの意味だったところが、舗装路を含む未舗装路も走れる自転車になっており、速さも問わないくらいになっています。しかし、ホイールに関しては比較的まだまだレースっぽいものが愛されているというところに、ぼくはギャップを感じます。カッコいいからという理由でしょうけれど、それも変化してきているのではないでしょうか。シマノは売れないものでも作れる余裕はあるわけで、売れるものばかり作るのではなく、たまには面白いものも作って欲しいのですけどね。そういう頭を持つ人は、シマノに入らなかったり、入れなかったりするのかも知れないですね。

原点回帰という考え

ぼくはローハイトリムのホイールを使う人も増えてきていると思います。これは価格帯やスタイルによって濃淡がありますが、今後は「とにかく買い換えるならリムハイトは高めが良い」と考える人は右肩下がりになってくると思います。ローハイトリムの方が良いと言いたいのではなく、いろいろな選択肢があるということです。ローハイトの最大の良さは使いやすいことです。
 ・力がなくても回し続けやすい
 ・長い時間でも疲れにくい
 ・乗り心地が良い
などと聞くと、「ええ?軽いほうがいいんじゃないの?軽いものってカーボンなんじゃないの?」と考える人もいるでしょうね。それは”わかりやすい話”を読み過ぎだと思いますし、動画の見過ぎだと思います。そんな単純ではないのです。いずれのタイプにもメリットとデメリットがありますよ。

で、今回の新型ホイールを買いますか?
もし買うなら当店でお願いします!笑
まずはお気軽に相談からどうぞ!