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新シーズンに向けて
昨シーズン、チーム創設以来の最高成績をメリダのレースバイクとともに上げることができたバーレーン・ヴィクトリアスチームは、2023年シーズンの開幕に向けてトレーニングキャンプを開始しました。
このシーズンのキャンプはプレスカンファレンスとともにシーズンの準備をする大切な時間です。全く別のメンバーになってしまうことはありませんが、新しいチームメンバーやスタッフとの顔合わせもありますし、そのシーズンのチームが目指す目的や個人の役割も確認します。選手はコンディションのテストを含め、怪我の状態や身体の可動域を確認するメディカルチェックを受け、プレスからインタビューも受け、撮影にも対応し、メーカーからは新しい機材についてのプレゼンテーションを受けたあと、その機材のセットアップを行います。とにかく忙しく、スケジュールはギッシリですね笑。つまり、選手はキャンプからオンシーズンではなく、このキャンプに合わせて準備をする必要があります。11月にシーズンが終わったと思ったら、1月半ばにはキャンプですから、オフシーズンはあまりありません。
約10年前、ぼくは何度かこのキャンプに同行したことがあります。同じホテルに滞在し、プレスカンファレンスに参加し、チームメンバーと走ったりし、夜はパーティ。目立った緊張感はありませんが、ぼんやりした不安や楽しみのようなものが漂う、独特な空気を感じました。
特にこの時期のキャンプは春のクラシックを戦うためにはとても大切です。選手には、春に調子を上げることが得意な選手と、秋に調子を上げることが得意な選手がいたりします。春先を大事にする選手にとって、冬場は大切です。まあ、これは我々のようなアマチュアライダーにとっても同じですね。
我らが幸也さんは目立ってますね!
2022年シーズンに全日本チャンピオンを獲得した新城幸也選手は、オレンジと赤をベースにした通常のチームジャージではなく、白を貴重とした全日本チャンピオンスペシャルジャージを着用しています(ルール上着用は義務付けられています)。ですから、集団のどこを走っていても、すぐに見つけることができます。今回はヘルメットもスペシャルカラーなので、白いヘルメットも見つけやすいですね。ワールドツアーチームの中に、白地のジャージはあまりないですから、レースにおいても見つけやすいのではないかと思います。
余談です
なお、ホセ・ヘルミだは2023年、2024年シーズンもメリダとのブランドアンバサダー契約を延長しました。ガンリタもそうですが、彼らをメリダが切ることがありえないでしょう。ホセもガンリタも、多くの選手から最大のリスペクトをされるたいへんな人格者であり、ほんもののプロ選手でした。引退したあと、彼らはレースバイクに乗る姿をまったく見せていません。そこが海外の選手の中でも、二人のすばらしいところです。引退したあとは、「バイクを楽しむ」ということに最大限コミットメントしている姿は、ほんとうに素晴らしいと思います。引退してもレースを走るのは自由ですが、競うことに区切りをつけることより、そもそも自転車とともに生きることを楽しんでいた(いる)のだとよく分かる姿です。かつて選手だった頃、彼らもこうしたキャンプを行っていました。そこでは、並の選手が言われたとおりに過ごすだけですが、彼らは自ら若い選手を巻き込み、話をし、プレスにもいい顔をし、機材も率先してテストしたりと、まさにチームの中心を担っていました。ほんとうにすごいと思ったのは、ホセもガンリタも、まったく”隙きを見せない”ことです。プライベートな姿を隠しているのでは?と思い、ホセ本人に聞いたことがあります。「あなたはいつもチームやメーカーや、メリダのバイクに乗る人のために尽くしているようにみえる。それは意識して行っているのか?あるいは?」と。すると彼は、こう答えました。「ぼくらレーサーはチームやその中で働いてくれるスタッフだけではなく、バイクメーカー、つまりメリダや代理店、ディーラー(お店)とメリダのバイクを買って乗ってくれる人たちがいないと、レースを走ることができない。わかるでしょう?だから、ぼくにとってこの生活や姿はとても自然なことだし、まったく無理だと思ったことはないよ。」と。メリダがホセとガンリタをブランドアンバサダーに迎え、今の関係を維持し続けるのは、単に元レーサーだからではなく、そういった彼らしかできない仕事に対するリスペクトがあるからなのです。
下の写真はその頃のプレスキャンプのものです。マヨルカ島(マジョルカともいいますが)は良かったですねえ。2月のマヨルカは少々寒いとはいえ東京ほどではなく、暖かい日の日中は半袖でも過ごせました。ただ、10年前と同じく、今年は雪が降ったようです。