BESV PSF1での初輪行旅してみた

この記事は約 11 分くらいで読めます

出発前

出発前にはちょっと緊張しました。いつもと違う自転車は、いつもと違う作業が必要です。自転車に伴って、持っていく必要のある道具も異なります。出発してから、実際にやってみてからわかることもありますし、いろいろなことに気がつきます。

予行演習として、予めフォールディングを行い、袋をかけ、担いでみたりしました。「うん、いけそうだ」と確認を行い、実際の駅や市中で行うさまを想像してみたりもします。ぼくは細かいことまである程度決めておかないと心配をしてしまう性格なので、駅のどのスペースを使おうとか、どの駅を使うと担ぐ距離が短くなるとか、ある程度考えておかないと気になってしまうのです。

携帯用ポンプはロード用ではなく、MTB用を持っていきます。グラベルの場合も、あるいはロードでも30Cなので、ロード用で済む機械はほぼなくなってしまいました。必要な空気圧がポンプのポテンシャルでカバーできていることは必要であり、それがカバーできているかは気にすると思いますが、タイヤが太くなった場合に目標空気圧まで達するのに必要な空気の体積がどの程度かをも考えておくようにしています。グラベルやMTBのタイヤは、たくさんのエアボリュームを必要とするので、ロード用で入れてしまうと日が暮れてしまいますから…

普段は700Cや650Bを利用しているので、20のチューブは初めて用意しました。米式のままが良かったのですが、店に在庫であった仏式チューブで妥協しました。リムに空いたバルブ穴は、バルブナットによりカバーすることにしましたが、個人的にはあまり安心できないので米式チューブを買い直します。なお、ぼくはチューブはこのようにストレッチフィルムで包み保護します。中身がわからなくなってしまうので、記入しておきます。使用しなくても、あまり古いチューブは傷むので、日付も書いておき、一定期間で処分する方が良いと思います。古いチューブでも気にせず使用する方もいますが、ぼくらお店は”セールになっているチューブは仕入れません”。仕入れる際も、”在庫がよく回転している問屋さん”から仕入れます。

いざ出発

さあ出発。ウィークデイのデイタイムなので、駅にはまあまあな数の人がいました。フォールディングバイクの場合、ホイールの着脱なしに袋に収納することができるのは、安心材料でした。輪行には慣れているぼくですが、それでも楽な方がいいです笑。

PSF1は折りたたむまでの過程もわかりやすく、比較的わかりやすく作業できます。袋は折りたたんだPSF1に上からかぶせて使用します。下部はドローコードを引き、コードロックを利用します。デフォルトの仕様ではコード2本にそれぞれコードロックが使われていたのですが、自分に合わせて使いやすくするため、コードロックを一つにまとめました。

注意点

ここはとても大事なところですので、見出しを分けました。

折りたたみ可能な自転車の場合、折りたたみ不可能なものと相対した安全性に差はありませんが、”折りたたみというカンタンに見える部分の功罪として”、ユーザーさんのリテラシーが低くなる傾向にあります。つまり、「誰にでもできる」「カンタンです」と言えば言うほど、知識をつけようと努力する人の割合は減ってしまいます。また、安全性やそれを担保するために自分がやるべきことについて、あまり実感を伴う興味を持っていただけないケースが増えてきます。ですから、BESV JAPANさんも、「販売時には折りたたみ状態から走行可能状態へ戻す作業を十分レクチャーすること」「安全確認してから乗ること」の周知徹底に大変憂慮しておられます。これは、ぼく自身が乗る場合にも大きな注意を払っています。

個性があると楽しい

最近はこれが話題になることが減りました。なぜなんでしょうねえ。SNSもネットもない時代の方が、やはり現地まで行くということが重視されていたということなのでしょうか。あるいはお金で買えるものにフォーカスすることが増えたのかも知れません。これはイタリアのコモ湖周辺にあるギザッロ峠にある、マドンナ・デル・ギザッロ教会に行くと、買うことができるという、自転車用のお守りの一つです。本来はヘッドバッジという名前なんですが、こんな細いヘッドチューブはもうありませんよね笑。自転車に装着していた事もあったのですが、最近の自転車はさらに楕円断面も増え、取り付けができない場合が増えたので取り外し、保管していました。今回はステムですが、ヘッドバッジ的につけてみました。「LA MADONNA TI PROTECCA(聖母の御加護を)」と刻印されています。

デフォルトではドローコード一本に一つずつコードロックが装着されていたのですが、僕なりに使いやすくするため、一つにまとめました。

ショルダーストラップは純正のものではなく、別のものを自作して使っています。どちらが良いか悪いかというより、それぞれ自分のノウハウをみつけ、それに納得して使うことが輪行では大切です。

走ってみるとわかること

普段は通常ホイール径の自転車に乗ってきたぼくです。今回は初の小径車となるPSF1を楽しむにはどうしたらよいのだろう?と、研究を開始しました笑。あ、でも、小径車はBMXで経験済みですね笑。忘れていました。やはり、趣味や自転車は買ったあとの使い方が大事ですし、実際に使ってみないとわからないことも多くあります。しばらく使ってみて、良いところと悪いところをみつけ、自分が安心してたのしめるように考えるのは楽しいことです。机上の空論ではなく、現場でのトライアンドエラーが大切だと思っています。

写真のような幹線道路では、クルマが巻き起こす風の流れを受けることができ、スピードの維持が難しい小径車でも速度維持が容易でした。ただ、慣れていない方の場合には、小径車に乗ることで不安定感に不安を感じるかも知れません。そうであれば、路地を中心とした走行経路を選択するほうが良いと思います。いずれにしても、通常ホイール径の自転車に対してのディスアドバンテージをどのように許容して楽しむかは、ぼくにとっては大切だと言えそうです。

あまり多くの距離を走るより、あまり広くない範囲を回遊するような利用方法が、最適だと言えそうです。あくまで道具がもつポテンシャルの中で楽しむ方がよいということですね。もちろん、乗り手の頑張りさえあれば何でも、どこへでもいけてしまうのも自転車の良さですが、40歳も半ばを超えたぼくにはその楽しみ方は合いませんし、もっと気楽にふらっとでかけたい、そんなときに使うPSF1というところでしょう。

今回の目的地はこちら「touch is love ®︎ JEANS」さんです。数年前に知人を経由して知り合ったお店で、ジーンズ(touch is love ®︎ JEANSさんではジーパンと呼んでいます)を製造・販売されているメーカーさんです。メーカーと言っても基本的にはお1人でされているので、有名なジーンズメーカーとはまったく異なります。ジーンズは501や503などの型番があるのが通常で、そこからモデルとサイズを選びます。しかし、touch is love ®︎ JEANSさんでは種類は基本的に1つです。でも、そのかたちは大手ジーンズメーカーにも勤めていた工藤さんの考えるかっこ良いジーパンに基づき、デザインされています。かたちだけではなく、また単なる作業着でもなく、着る人がどのように着るか、着ている時間を楽しんでくれるかという想いを込めて考えられた、世界で唯一のジーンズは、わざわざ茅ヶ崎まで訪れた人だけが体験することできるサービスです。購入する際の体験、つまり会話も含めて、サービス価格に含まれていると思いますので、大変リッチな購入体験をすることができます。ジーンズを買うためだけに1日を費やす、これは他にはないでしょう。

かたちがいいんです。ほんとにいい。ジーンズというと、アメリカンブランド以外に国産もありますし、ユーロジーンズもあるでしょう。そのどれでもないのがtouch is love ®︎ JEANSです。

アメリカンブランドと国産ブランドは似ていて、どちらかというとどストレートなフォルムが特徴的です。501なんかがそうです。そこからテーパーさせたもの、あるいはスリムやスキニーなどをユーロジーンズも加わって開発したものの、本来的な作業着というスタンスからどんどん離れていってしまいました。それはそれでいいのですが、普段着としての、あるいはホリデークロージングとしての気の抜けた気楽さより、むしろリッチさをアピールするようなところに付加価値を求める傾向も生まれました。個人の価値観なので否定するつもりはありませんが、ビンテージに関しても理解しにくいところです。タレントさんなんかが履いてますよね。一般視点でみて、おしゃれで気楽に履くことができ、動きやすく便利、そんな”ジーパン”をtouch is love ®︎ JEANSさんで買うことができます。

そのかたちは、基本的にストレートなのですが、時代感に合わせてバージョンアップを繰り返しています。膝下が短く見えないシルエットです。腰回りの形は、長時間、飛行機や車に乗っても疲れない形です。ぼくは3本所有しているのですが、3本とも形が違います。その時代のトレンド、これは単に流行を追いかけるということではなく、touch is love ®︎ JEANSとしてのかっこよさと使いやすさの追求の連続だといえます。「そうそう、こんな感じのが欲しかったんです」「こうやって履きたかったんです」という流れにうまく合わせたかたちは素敵です。また、男性だけではなく、女性がかっこよく、きれいに履くことができるストレートジーンズとしてもオススメです。シルエットのこの辺を細く、太くなど、いろいろなオーダーを受けてくださいます。

フルオーダーではないのですが、近いサービスです。自転車でもフルオーダーはありますが、実際に本当にフルオーダーする人は稀でしょう。言い方を変えれば、その必要性が薄いといえます。制作側が用意した既存の型から選び、それをもとにコミュニケーションし、結果として手に入れる製品に含まれるブラインドになっている要素を楽しむという道楽、それがオーダーだと思います。つまり、オーダーに終わりはないのです笑。次の機会にはまた、別のものが欲しくなっているでしょう。それが楽しいのです。

なお、ぼくが今回オーダーしたのはこれです。
濃色インディゴデニムに、ネイビーのステッチの、オールインディゴステッチジーンズ。
出来上がりは4月頃だそうです。それまで楽しみに待っていたいと思います。

そのあと、江ノ島の方へ向かいました。新江ノ島水族館(通称エノスイ)は楽しいですよね。昨年も娘と訪れましたが、よかったです。

「えのしぃ〜まぁ〜が〜みぃ〜え〜てきたぁ〜♫」ということですが、ぼくの家は遠いです笑。ぼくが住む地域と、この地域では生活スタイルが色々と違うので面白いですね。こんな冬場なのに、サーフボードをかけた自転車にたくさん出会いますし、海と生活が密接に関わっているんですね。

江ノ島駅から江ノ電に乗って、鎌倉まで。長谷駅で下車して鎌倉を散策、あるいは金沢八景駅まで走れたらと思ったのですが、ジーンズの購入が楽しくって時間をかけてしまい、娘を迎えに行く時間のやくそくがあるので帰宅しました。次回このあたりに来るときには、三浦半島を散策したいと思います。

得意な走り方と感想

PSF1で楽しいのは、はやり散策だと思います。クルマをデポして、あるいは輪行して、そこから公共交通機関や徒歩の移動を置き換えて散策する。つまりマイクロツーリズムを楽しむ。これが良いと思います。輪行は思った以上に簡単でした。ですから、1つのルートで複数回の輪行作業を行うようなルートも可能だと思います。買い物をしたり、神社やお寺を巡ったり、美味しいものを食べたり、温泉に入ったりするのが楽しそうです。YoutubeやSNSを見ると、「ここがだめだった」とか「よくないところ」などをキャッチーにピックアップしてはアテンションを集めるコンテンツが蔓延っていますが、大切なことは身の丈感でしょう。できないことをやろうとすれば、ダメだとなるのは当然ですし、コンテンツはいくらでも作れます。PSF1で大きな山を登る必要性は一切ありません笑

壮大な旅に挑戦するのもいいですが、市街地や集落や里をのんびりと散策するような旅がPSF1には最適な楽しみ方の1つだと思いました。通常ホイール径のEバイクの場合、平坦でスピードに乗ってしまうと24kph以上で走る時間も増えます。そうすると、カタログに記載された走行可能距離よりも、長く走ることができるばあいがあります。しかし、PSシリーズは小径車のため、スピードに乗せて走るには体力が余分に必要ですから、アシストが切れてしまう24kph以上で走行する時間が多くなることはあまりないでしょう。ですから、カタログに表記されたバッテリー1本あたりの走行可能距離を越えて走るとは考えないほうがよさそうです。それを期待するならば、小径ではなく、通常ホイール径のEバイクの方が向いています。

PSF1に乗るのはとっても楽しいです。

Eバイクの良さは、無理をせず楽しむことだと思いますので、あくまで小径車であることを素直に認め、その中で気楽に走るのが楽しいと思います。このバイクでバッテリーが空っぽになるまで「どこまで走れるかな?」と試すより、もっと肩の力を抜いたほうがラクに楽しめると思います。また、カーシェアやレンタカーなど、自転車キャリアが装備されていないような環境でも、複数台のEバイクを積み込み、楽しむことができるのは唯一無二だと言えます。ロードバイクなどを複数台お持ちの方でも、自宅のスペースをあまり多く専有せず、Eバイクによる小さな旅を楽しむことができるのは、人生に素晴らしい体験をもたらしてくれることと思います。

店頭に試乗車も用意していますので、お気軽にご来店ください。