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次の時代へ
自転車は次の時代に向けて動いています。動き出しているというか、いつも動いています。ただ、それを感じられない場合もあります。ある程度の経験があり、歴史を知っていると、これから起きることをある程度予測可能だったりすると思います。雑誌やウェブメディアを見ていても気づくことができないことはたくさんあります。広告も記事も売るための文章ですし、特に日本では、書き手の主体性を感じるそれ以外の文章はほとんどありません。また、文章は会話とも違います。現場や店頭で人間同士で会話しないとわからないことは、どんな世界にもあることでしょう。「次の時代へ」などというと、大抵の人はテクノロジー的な話かと思うのでしょうけど、ぼくが言いたいことはそうではありません。
乗り方が変わる
新しいものを探し続ける、他の人の持っていないものを手に入れる、他の人が望むものを買う、そんなトレンドは少なくとも2010年くらいで終わっていると思います。2020年以降、特にコロナ以後のキーワードは主体性と身の丈感だと、ぼくは接客で何度も繰り返し言ってきました。
ある物の価格が高くなれば、それを掻い潜る製品が出てきます。またスペックも同じで、数値の掻い潜りと言えます。「〇〇と同じだけど安くてお得」というやつです。しかしそれらにも限界が出てきます。行き着く先はフェイクやコピー商品です。偽物はもっとも安価に手に入れられる記号だと言えます。また、そうしていくつかのメーカーが新しさを提供できなくなると「メーカーには手がないんだ。飽きられたのだろう。」と後出しで主張する人がいます。しかし、今の大手メーカーはかなり多様性を持っていますし、トレンドも変わってきてます。幅広い価格帯で、幅広い遊び方が提案できています。しかし、1つの記号だけを追いかけてしまうと、それが見えなくなってしまいます。
楽しみ方が多用に
これまではより軽いものを、より戦えるものを、より高いものをより安く買うことが求められましたが、今後は変化していくでしょう。すでに変わっている人たちもいます。スポーツやレースのための道具として、自らの成長や習熟を予測した上で、ちょっと先を読んで道具を買うことは一般的なことですが、無理をして過剰な買い物をすることが他人から羨まれる時代はもう過去になってきています。
自分の遊びに必要な道具を必要なだけ手に入れるようになると思います。またそれは、遊びと道具を大事にする人ほど、人間から買うことを大切にしていくようになると思います。でも、コスト的に切羽詰まった人たちは、人間の関わりが薄い買い方になると思います。自転車以外でもそうなっている兆候が思い当たりませんか?
メーカーもその流れを知っており、シマノではあたらしくCUESという商品群が登場します。ロード市場にシマノのCUESが登場するかどうかわかりませんが、確実に時代は変わってきているということだと思います。もう、軽く軽く!のような努力をメーカーはあまりしてませんし、これ以上やる意味もないと考えていることでしょう。技術的な理由とともに、必要なくなってきたということが言えると思います。なお、105云々の件について言えば、youtubeでも喋りましたけど、トレンドと市場の変化により記号の意味もまた変化しているのだと思います。
Eバイクの世界がもっと理解される
店頭でも言ってますし、隠すつもりもないので言いますが、100-150万以上出費してペダルバイクのロードを買う中の一定の層は、同価格で十分買えふであろうEロードにより置換されると思います。もちろん、高額車を買うということ自体、全く否定しませんし、個人の楽しみとして自由だと思います。
しかしながら、実際に走る道具として利用してみた場合、同じコスト、あるいはそれ以下で十分購入できるEロードバイクに対して、山がちな地域ではどんどん先を行かれてしまうでしょう。また、平坦ではあまり自転車の重量は速さに対してネガに働きませんから、過剰な軽さが有利になりません。
さすがに100万円のロードバイクを買う人は大変限られますが、下限では70-80万円くらいまで含めて、あるいはリヤハブモーターなら40-50万くらいまでが、Eロードバイクのカバーする範囲になってくると思います。さてその時にも、あなたは同じコストを出してペダルバイクのロードバイクを買うかどうか?です。ペダルバイクが無意味だというのではなく、そういう時代が来るでしょうから、選択肢が拡がりますよということです。両方とも楽しいですから。
Eバイクは記号じゃないですよ、旅のある人生であり、自転車は自由に移動できる手段です。
多様性と主体性と身の丈の時代へ
そんな未来ももうすぐやってくるでしょうし、もうやってきているとも言えるので、何を楽しむためにコストを出費するのか考えて頂いた方が良いと思います。 安いから、軽いから、速いからで人を引き付けるのは簡単ですから、容易に騙されます。そして、それはすぐに飽きられます。でも、自分がほんとうに楽しめることなら、飽きることはありません。
他人の欲望を煽るためにコストを出費する時代は終わりました。これからは自分の主体的な欲望や希望のために、必要なものを必要なだけ手に入れましょう。そして、人間を大切に。