VITTORIA TERRENO DRY 650Bx47C TNT Tubeless

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いろいろ試して行き着いた答え

こんなキャッチを書いておきながら、いきなりをそれを否定します。答えは一つではありません。ですから、それぞれの使い方においての、あるいは乗り方においての正解に近いものを、色々試して探ってみましょう。

と、いきなりディスクレーマーからスタートしますが、それじゃあつまらないので、Vittoriaはいいぞ!というモードでお話はしていきます。実際、ぼくは好きです。

ただ、タイヤについてはとくに、乗る人が持つ色々な要素次第で評価が変わります。単に感覚といっても、自転車に乗った時間で変わりますし、走って経験したきた場所によっても変わります。また、同じ時間に同じ場所を走っても、速度域が変わると、経験として残るものや記憶が変化します。それには技術的な差異も大きく関わります。タイヤへの評価は難しいので、誰かと同じタイヤを使っておけば安心だと思う人は増えますし、リスクを負って試すということをする人は、昨今どんどん減っているように思います。端的に言えば、評判のいいもの(単にポジティブな評判の絶対数が多いもの)を安く買うということで負えてしまう人が多いように思います。

タイヤの評価は「良いタイヤ」ではなく、自分にとって「好きなタイヤ」だと思いますし、「自分が使えるタイヤ」という意味でもあると思います。いくら他の人が良いと評価したとしても、自分がそれを使えなければいい感触は得られません。買って取り付ければ、誰でも同じ効果を発揮するわけではないもの、それがタイヤです。

とそんなわけで、色々な意見があるということは承知の上で、ぼくの意見を読んでください。なお、ぼくがすべてを褒めるタイプではなく、好き嫌いも理由を言った上ではっきりいうので、あなたが好きなタイヤを否定するかもしれません。まあ、そこに悪意はありませんし、なにかに対して批評する場合は仕方がないとぼくは思います。全てに配慮していたら、批評できません。

とにかくタイヤは難しい。なお、ぼくは比較的タイヤを使うのが下手です笑。だから、タイヤをまんべんなく使うのが下手ですし、限界を引き出すみたいなことも苦手です。そんなぼくでも使いやすく感じる、それがいまのVITTORIAタイヤです。

TERRENOシリーズはいい

グラベルロード用のタイヤには色々なものがあります。もちろん、ロードバイクにも色々なものがあります。MTBでも同様です。

それでは、ぼくがタイヤを選ぶ際のコンセプトをお伝えしましょう。
 それは「使いやすさ」です。
これをもっとも重要視します。

言い方を変えれば、汎用性が高いとも言えますし、安定性が高いとも言えます。あるいはミスをしにくいタイヤという言い方もあります。もっとシンプルに言えば、無難な選択肢です。ただ、みんなが使ってるタイヤを使って安心したい人には、無難の意味が変わるのでしょう。

TERRENOシリーズはVITTORIAの中でもシクロクロスやグラベルロードにターゲットを当てたタイヤのシリーズです。TERRENOにはいくつかのパターンがありますが、比較的オンロードよりでありつつ、サイドノブがそこそこあるTERRENO DRYが今回のタイヤです。グラベルロード向けタイヤの主力の一つと言えます。

サイズのラインナップはかなり豊富で、MTBタイヤからシクロクロス、グラベルロード用の太めのものまでかなり幅広く揃っています。これもTERRENOシリーズの魅力だと思います。

とくにTERRENO DRYはいい

はっきり言ってこのタイヤは唯一無二、代わりがないタイヤだと思います。

パッと見た感じでは、いわゆるセンタースリック系のタイヤのように感じると思います。センタースリックという表現で言うなら、TERRENO ZEROのほうがピッタリで、まさにそのイメージ。しかし、TERRENO DRYはハードパックなオフロード向けタイヤというイメージかと思います。ポイントは3つ、まずひとつ目はセンター部分のトレッドパターンです。下の動画でも説明がありますが、前後方向で高さの異なる六角形のパターンを密に配置しています。

進行方向には抵抗が大変少ないのですが、それ以外の方向にはトレッドのエッジが立つように配置されています。これがめちゃくちゃ効きます。転がりを良くするということであれば、IRC SERAC SANDのようなダイヤ目もいいですが、ぼくはあのタイヤをあまり使いやすいとは感じませんでした。どの方向から力がかかっても、同じ動きをするのはテクニックのある上手な人にはわかりやすく、軽くて速くていいと評判ではありますが、ぼくはどの方向からの入力に対しても早い段階から滑り出す印象を受けましたので、速度域が上がった場合にはとくに怖さを感じました。また、滑り出したところからの制御ができないと思いました。滑り出しが早い場合、速度域が高い状態で滑ると勢いも出てしまうからだと思います。

それに対してTERREO DRYはとにかく安定したグリップを作り出すことが上手ですし、サイドノブもちゃんと使えるものが配置されています。使えないサイドノブの代表格としてぼくが挙げるのは、パナレーサーのグラベルキングです。標準モデル以外にSSやSKでも採用されている、あの細長いバーのようなトレッドパターンは、食いつくわけでもなく、むしろ細長すぎてクニョクニョと動いてしまいますし、北米のような砂地では悪くないだろうといえるものの、日本国内によくある水分や栄養が豊富な土質やスリッピーな泥のような細かい土では、まったく機能しないと思います。最近のパナレーサーのタイヤをぼくから見た場合、MTBもロードもそうですが、ちゃんと自信を持って販売できるタイヤが極めて少なく、チューブレス運用という点でもほぼ無理なので、ぼくは大変不安に感じていますし、在庫もしていません。

TERREN DRYはそのままMTBのドライコンディション向けタイヤとしてもラインアップされています。きっとこのパターンの開発起点はMTBなのではないでしょうか。VITTORIAのMTBタイヤが、かつてGEAXというブランドで販売されていた頃から、VITTORIAのMTBのタイヤはぼくが好きなタイヤでした。ハイスピードで駆け抜けるドライコンディションでのMTBクロスカントリーでは、速さも大切ですが、転びにくいことも大切な要素です。そんな安定感をもたせたパターンを細身にしたり、あるいはホイール径を変えたりし、色々なパターンを増やしてきたのだと思います。

2年前の年末、旅先で思いもよらない雪と氷のコンディションに当たってしまった際、TERRENO DRYはすばらしい性能を発揮してくれました。センタースリック系のタイヤでも、しっかりパターンのあるタイヤでも、氷というのはなかなか難しいものです。土のように刺さることはなく、力を加えると滑ってしまう。そんなコンディションでTERRENOの六角形ノブは一つ一つが微妙に動き、仕事をし、最大限のグリップを作ってくれました。あれにはかなり驚きました。この春にも、思いがけない雪と遭遇することがありましたが、その際にも安心して走れたのは「TERRENO DRY」のおかげだといえます。

TERRENO DRYの凄さは、その対応力の広さでしょう。完全にドライコンディションでも速く、かつグリップを作りますし、舗装路においてもまったく重さは感じません。また、ソフトめなコンディションでもしっかり使えてしまうので、タイヤ幅を大きく確保できないグラベルロード系タイヤの中では抜群に使いやすいタイヤだと思います。

VITTORIA TERRENO DRY 650Bx47C 7,997円