合同展示会にて

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どのお店でも同じでしょうけど

昨日までの2日間、浅草で合同展示会がありました。何社きてるのかわかりませんけど、4フロアあって、けっこう大変でした。まとめてみられるのは良いんですが、来場者も多いので、あまり落ち着かない感じではあり、好みが分かれますね。偶然性の部分にメリットはあるので、毎回行っています。

みるところはそれぞれ違う

一般車、ロード、MTB、グラベルなどいろいろなものが入り混じっての出展なので、お店によってみるとこが変わります。また、舗装路専用であろロードバイクに対して、拡大しつつあるグラベルロードにどの程度好意的か、あるいは真剣かによって、あるいはMTBをどの程度やっているかによってそれぞれ見るところは違ってきます。

求めるものもさまざま

最近の変化について言えば、一言でいうと大きく多様化していると思います。道具も多様化してるんですが、販売店も多様です。以前ならどのお店でも報じる内容というのがあったと思うんですが、そういうことは少なくなりました。

例えば、中国製の新しい電動コンポーネントである「WheelTop(ホイールトップ)」についての反応でも同様です。多くは歓迎を示すもので、それはぼくも同じですが、中には「これはシマノの牙城を崩すものだ!」あるいは「3大メーカーが4になるのでは」という人までいますが、ぼくの立場は「まあ落ち着きましょう」という立場です。そもそも、シマノだけ極端に大きいのであって、ほか2社とは規模がまったく違いますので、もし食われるならシマノ以外で、特にSRAMではないでしょうか。

コンポーネント販売はそんなかんたんではありません。以前にもワイヤ式でシマノやカンパ以外の亜種があったことを知らない人は多いのでしょうし、それらがなぜ消えていったのかを知らないと思います。あるいは、台湾ではシマノよりSRAMの方が歓迎されるケースが割と多く、その理由は性能ではなく、サービス体制にあることも知られていないでしょう。つまり、単に機械が動くかどうかが問題で、販売店が自信と責任を持って販売するかどうかが決まるのではなく、サービス全体としてworkするかどうかが問題なのです。

そもそも、完成車に組み込まれるコンポーネントは性能で決まるのではなく、販売店の意見が大きく影響します。販売店はお客さんの意見と、販売店の意見を合わせて上げます。先程書いた通り、機械の性能がまあまあでも、どのお店でもサービスを受けられるシマノを搭載するように願うのは合理的で、お客さんのためを思っても最善だと考えます。カンパやSRAMにしても、サービスを提供できる店舗は、シマノのそれと比較してグーンと減りますが、売ろう売ろうとする広告を目にしたお客さんは、その部分を冷静に意識できていないケースが多いでしょう。もちろん、「このお店にしか行きませんし、引っ越しもしませんし、それは承知の上」というなら構わないと思います。

展示会当日、あるいは翌日時点で、ちょっと会場で見て触って程度にも関わらず、大げさにSNSで投稿しまくるお店の人はインフルエンサーみたいなものなので、話半分に聞くくらいが良いのではないかと思います。先程も書きましたようにコンポはそんな簡単ではないのに、売りたい意欲が強すぎて大丈夫なのかな…と不思議に思うくらいです。

電動シフトだから取り上げられるんでしょうけど、総じて、通販系や大陸系を推すの人の対象は若者相手の商売という感じはします。アーリーアダプタ向けとはちょっと違う感じに見えます。ぼくは否定はしないし、過剰な期待もしていません。アーリーアダプタ向けの広告なら、もっと深い話題で誘うはずだと思うんですが、言うのは値段のことばかりにみえます。マニア向けという感じは受けません。むしろ、これからの自転車を走らせることに夢中になるマニアは、CUESとかGRXあたりを欲しがるはずです。

変速部分だけを切り分ければ、105とそこまで大きな差額があるわけでもないでしょう。それはあらゆる自転車店での実質恒久的とも言えるサービスを受ける権利が含まれますし、そういうものも含めた価値なので、ぼくは落ち着いて眺めてます。いずれにしても、「WheelTop(ホイールトップ)」はある程度のリスクを負うことを楽しむ人向けだと思います。

今後どんな世界がやってくるのか

もう多段化も、電装化も、多くの人が共通してあこがれる対象ではなくなっているでしょう。それは自己満足だけになってる。「いや自己満足でいいんだ」ということは否定しないけけど、ぼくはそういう閉じたサイクリングではなく、外に開かれたサイクリングをしたいし、多くの人にしてほしいと思っています。それがサイクリング文化を支えるはずです。コストを掛けるのが間違っていると言いたいのではなく、安いものでいいという単純なことではなく、サイクリング文化を多くの人に楽しんでもらうには、体力のある元気な人やお金のある人が目立つばかりの世界ではないほうが良いと思っています。

要約しますと、サイクリングはモノもコトも”シンプル”に戻ると思います。原点回帰です。シングルギアになるという意味ではありません。これはあくまで非レースの文脈においてであって、レースは今まで通りでしょうし、多様になった中で自分の位置づけや行くべきところをしっかり見ておくほうが良いと思います。

自分が楽しめる自転車についてのモノやコトをちゃんと見つけることはけっこう難しくなっているので、通販で買ったり、ネットに閉じていると出会わない楽しみ方をお店での会話の中で探ることが必要なんじゃないでしょうか。


気になったものを紹介

ここからは写真に撮ったものにコメントを追加して紹介しますが、あくまで正直に言うので、いいことばかり書いてませんしw、撮り忘れたものはたくさんあるので、ここにないから見てないわけじゃないんですよ。たくさんの代理店と製品があるので、ザーッと見た感じで面白そうなところだけ取り上げてます。

スミスジャパン

すでに取り扱いしてます、スミスです。スミスはアメリカではけっこう古くからあるゴーグルメーカーで、アイウェア全般やヘルメットも作るようになりました。特徴はデザインセンスが個性的なこと、それと「コロイド」という蜂の巣のような構造により、安全性、軽量性、通気性をバランスよくデザインしているところ。ぼくもMTB用、ロード用ともに愛用してます。写真は撮り忘れてしまったんですが、Persistというヘルメットが2万円くらいで、MIPSもコロイドもついているので、よかったです。

ジャックウルフスキン

ジャックウルフスキン、通称「ジャック」と古い人間は呼んでました。ジャックが流行ったのでもう30年以上前で、特にデイパックが大変良く売れてました。本国では日本での流行りに関係なくずっと存在し、愛されているばかりか、ハイエンドというよりややラグジュアリなアウトドアブランドとして認知されています。一昨年くらいから、ウェアやテントも輸入が再開されています。ただ、本国のような高価格に裏打ちされたしっかりしたものではなく、比較的廉価とはいわなくても、買いやすさを狙った製品ラインナップとなっており、ぼくの中のジャックとはかけ離れたもののようです。価格の割にはまあまあとは思いますが、あくまでまあまあなので、今の時点で買って使おうとは思いませんでした。「テストしてほしい」と言われればいつでもやりますが、です。フレームバッグもありましたが、素材が柔らかすぎるので、使いやすいようにはみえなかったです。ぼくは今、大きめのサドルバッグを買おうと思っているんですが、18,000円弱をこれに出すなら、オルトリーブにもう一万円出したほうがいいかなあと思いました。ただ、あれこれバッグを買うなら、あるいはスターターキットとしては悪くないと思います。だめじゃないです、悪くないって感じなのです。

ヴィットリア

タイヤに関することって、いわゆるSNSやネットでの評判と、リアルショップでの話のズレ方ってものすごいんですよね。ヴィットリアについて、ぼくは前から書いてますが、昔と今ではまったく異なってます。某海外通販サイトは使えなくなったものの、安いところから無難なタイヤを買い込む人が増えたので、新しい味を試すことなく、舌を鍛えることができなくなっていると思います。それはそれで良いのかもしれませんが、時代の変遷によっていい製品とそうでもない製品、あるいはブランドは変わっていきます。あるいは、まったく変わっていないどころか、変えるための開発をまったくできない環境になっているので、目を利かせているお店は触れもしないんですが、インフルエンサー等に配ってはうまいこと販売しているメーカーもあるので、わからないものです。もちろん、醤油ラーメンもとんこつラーメンも美味しいので、いずれかだけ食べているものいいですし、試してみてどちらが合うかを試すのもいいと思います。その上で、東京で食べるとんこつと、福岡で食べるとんこつは別の味でしょうし、またそう感じるものなのでしょう。何を言ってるのかわからない方は、話に来てください。タイヤの世界は奥深いのです。

キャットアイ

キャットアイから新しいブラケットが発売されるようです。エアロ形状のバーに利用できる製品と、ステムの真下に固定できる製品です。それと腕に装着するタイプの心拍センサーが発売されます。後者なんですが、これってけっこう欲しいもんなんですね。夏は変なふうに日焼けするし、秋冬はアンダーの下に装着するのは面倒だし、どうなんだろうなあと思ってましたけど。

オーバーライズ

FIDLOCK(フィドロック)というボトルです。このボトルは専用のボトルケージに装着するようになっており、ボトルケージ部分の部品とボトルがセットでの販売となります。

これはめっちゃいいです。

柔らかな素材と高流動性のセルフシールおよび漏れ防止バルブとオプションの汚れカバーを備えた新しいボトルキャップのおかげで、最適化された簡単な絞りが可能な小さなTWISTボトルです。容量は450mlと590mlの2種類、バルブはもれにくいタイプ、食器洗い機対応、BPAフリーです。

下の動画を見るとわかりますが、ボトルケージ部分は自転車にほとんど残りません。スタイリングがシンプルに、スッキリします。ボトルケージを外した姿が好きなぼくにはピッタリ。MTBやグラベルライドでは、片手を離しにくい場合がありますが、これを使えば便利です。

こちらもオーバーライズ

Quaiコンポーネントという台湾メーカーのハンドル、カーボンホイールなどが出品されていました。このバーはいい感じでした。剛性は充分あり、そこそこ軽く、金額もお手頃な21,600円。条件は揃ってました。個人的にはハンドルバーバッグのクランプを使いたいので、グラベルでもエンデュランスロードでもアルミバーを使う予定ですから、買ってみようかと思ったんですが、テストはしないことにしました。

OCCAM

代理店名は略しますが、メーカーはOCCAMを(オッカム)と読みます。写真を見たらわかりますが、こういう製品です。似たような製品との違いは、固定にBOAを使うところです。BOAを使うので他より高いかな?と思ったんですが、5,500円くらいだったのでそこまででもありませんでした。素材は見ての通りX-Pacを使っています。輪行バッグのように大きめのものも固定できますから、装備品の中に忍ばせておくと便利かもしれません。

SRM

かつてはアマンダで取り扱っていたSRM。今季からPEAKS COACHING GROUPでの取り扱いになりました。SRMを何台売るかではなく、SRMを通じたトレーニングとコーチングの提供ということになり、SRMの販売環境としてはようやく最適化されたように思います。当店でも登録しましたので、購入いただけます。お値段はざっとセンサー、クランクセットの組み合わせで30万円台後半〜という感じです。

ゼータトレーディング

おなじみ、変なものwばかりあつかうゼータトレーディングです。マグペド、そして、アランデルのトップチューブバッグとハンドルバーバッグに少し小さな製品がリリースされました。いずれもジッパーではなく、マグネットによる開閉となっており、使いやすそうです。