はじめての自転車

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自転車は生涯スポーツ

自転車は何歳からでも始められると言われます。実際、うちの父は65歳からロードバイクを再開(50歳くらいのころに一度やっている)し、78歳になった今でも天気の良い日には半日くらいかけて走っています。自転車を楽しむ際にたいせつなことの1つは、「自分のペースで楽しむ」ということです。

「〇〇キロ走ろう」と決めるのはチャレンジングですが、実際にその目標設定が適切かどうかた大切です。絶対値での目標設定は、客観視した際に自己承認を得やすいでしょう。しかし、本当にそれが自分のやりたいことかどうか?あるいは自分のペースに合っているかどうか?について、見失ってしまいがちでもありますので、注意が必要です。

たとえ一度クリアできても、2度目3度目にやる気が起きるかどうかはたいせつなことだと思います。「誰かといっしょにいるからクリアできる」そんな場合もあると思いますが、ぼくは一人で走ってクリアできる目標設定を大事にするように推奨しています。それが本当の実力だからです。

生涯スポーツとは、自分なりのペースで楽しむことができるという意味であり、その際に身体への負担があまり大きくないことを表すでしょう。

Eバイクの活用

今回のお客さんは、ぼくと同じくらいの年齢のお二人。「これから2人で自転車をはじめて、いろんなところへ行きたいんです」ということから、どんな楽しみ方をすれば良いか、どんな自転車がそれぞれ最適かを一緒に相談して決めることになりました。

最初は、お二人でグラベルロードをというつもりでいらしたのですが、自転車という運動や機材に対してまだ大きな興味が持てていないだろうことを察したぼくは、奥さんにEバイクをおすすめしました。Eバイクの最大の利点は「自分の体力を嵩上げしてくれること」です。

このことは、「どこへでも行ける」という自信になります。また、「遅れてもゴールできる」という気持ちにもなるので、サイクリングへ行くことで「誰かに迷惑をかけそうだ」という気持ちがかなり目減りします。そうして実際に何度か経験を積むことで、今度は「一人で出かけてみようかな?」という気持ちになってもらえるところに目標を設定しました。

自立したサイクリストになるには

常に誰かが側にいてくれるのは安心材料ですが、いつかは自立せねばなりません。ただ、「何でも一人でできる」必要はありません。クルマで旅行することを考えてください。クルマに関するトラブルを「何でも一人でできる」ことを条件にしていますか?していませんし、そんな事考えていませんよね?

自転車でも同じです。たいせつなことは「自分の自転車を自分で管理すること」であって、「自分で手を動かすこと」ではありません。企業でいえば、管理と指示をすれば良く、実際の作業はアウトソースすればいいわけです。もちろん、アウトソースするためのコストは掛かります。しかし、維持管理コストを安くするためにセルフメンテナンスをはじめると、大抵に場合には、ちゃんと仕上がっていない状態になりますので、おすすめできません。コスト削減のために無理してシステムを自社管理するようなものです。

「自立したサイクリスト」なんて書くと、いろいろな誤解を生みます。そもそも、「サイクリストにはならない人たち」もいるからです。ぼくはそれは構わないと思っています。自転車を買う人は、たとえそれがスポーツ自転車であっても、「サイクリスト」であるとは限らないですし、構わないことだと思います。なお、Eバイクはそのような人が多く使うものです。いや、ぼくは自立を「自分以外の誰かに頼らないこと」の表現として使っているのではありません。あくまでも、「自分のことがわかり、自分で決められる」ということを表しています。それがたいせつなのです。

「乗るだけであとはお任せ」ではなく、自分の自転車に愛着ももち、自分で気に留めて、自分でアラートを出せることがたいせつです。それができれば、一人で走ることはできます。

ついに納車

都内の桜が満開になった日、ついに納車となりました。

12時にご来店いただき、お二人分の自転車についての納車説明を終え、サドルの高さなどを決めて、試走したりし、さあ帰りましょうか!となった時間は15時。たっぷり時間を使えるのは、個人でやっているお店ならではでしょう。大きなお店に努めていた際には、1日に納車する予定が詰まっていたり、販売目標の達成が一番でした。

やはり、男性と女性のお二人でご来店頂く場合、購入に至る最終決定は女性がする場合が多いのですが、きっかけであったり、イニシアティブを握るのは男性である場合が多いといえます。そのような場合、ぼくは男性側の発言に注意をしています。女性側も元気満々であり、スポーツ大好きである場合にはあまり心配は要らないのですが、大半のケースでは女性は程度の差はあれ消極的です。それはそうだと思います。男性側が過剰に牽引していないか、あるいは女性側はちゃんとついてくるのではなく、自分で考えて決めているか?を観察します。とはいえ、ぼくはどちらか一方に寄り添うのではなく、いずれの意見も尊重し、それをその場で明らかにし、お互いのイメージを共有できるように考えてお話の手助けをします。

ただ、いずれか一方がもう一方の気持ちをわかってあげようとしないケースもあり、その場合には失敗します笑。それはそれでお二人の中の決断なので、ぼくはあまり関わろうとしないよう試みますが、心配だけは残ってしまいますね。まあ、うまくいかないケースのほうが多いですよ。

今回のお二人は、お互いの気持ちを慮るのがとても上手でしたので、それぞれがやりたいこと、やってみたいこと、やりたくないことなどを、言い方を気をつけつつ詳らかにした結果、男性は「MERIDA SILEX 400」、女性は「ミヤタサイクル CRUISE i CS 5080」に決まりました。

「ミヤタサイクル CRUISE i CS 5080」は通常価格ですと30万円弱するところ、今ならなんと198,000円の特別価格!これはMERIDA SILEX 100とほぼ同価格です。当初はSILEX 100を検討されていたお二人でしたが、ぼくの導きにより「ミヤタサイクル CRUISE i CS 5080」に変更いただきました。

ぼくが「ミヤタサイクル CRUISE i CS 5080」を推奨した最大のポイントはやはりアシストがあることです。それによって、体力的に弱い側が原因となるコース設定への限界を突破させることができます。かんたんに言えば、坂のあるコースでも構わず走ることができるということです。一方、男性側は、特に40代や50代の男性というのは体力を維持することに頑張りたいものなのです笑。ぼく自信がそうなのでとても良くわかります笑。その両立はテーマの1つでした。

男性には「MERIDA SILEX 400」をおすすめしました。オンロードもオフロードも快適に、気持ちよく走ることができますし、Eバイクといっしょに走ることを考えた場合、多少のタイヤが太い方がペースが合いやすくもなります。もちろん、「一人だけでいる場合はスイスイ走りたい」という気持ちをお持ちであることもわかりますし、それはちゃんとお伝えしましたが、それを優先してしまうと「二人で楽しく」という部分が悪い影響を受けてしまいます。ですから、「一人でスイスイをしたい場合には、後々に細いタイヤを取り付けたホイールを買い足しては?」とお話しました。それはいつでもできますから、まずは「二人で走ろう」というきっかけであり目標に真摯に向かい合うべきでは?ということでお話しました。

さぁ、これからお2人で楽しく自転車との生活を楽しんでください。