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エンデュランスバイクとは
エンデュランスバイクにあまり注目されていないようなので、あまりももったいない話なので書いておくことにしました。
メリダでは現在、SCULTURA、SCULTURA ENDURANCE、REACTO、SILEXと4種類のロードバイクをラインナップしています。SCULTURAとREACTOがレースバイク、SCULTURA ENDURANCEがエンデュランスバイク、SILEXがグラベルバイクです。この中で存在感が薄いのはSCULTURA ENDURANCEです。
それはなぜか?
メリダを他のブランドを併売するお店では、いわゆるレースバイク系のミドルグレード完成車を販売することが、店頭でのセールスの中心の1つになっており、そのジャンルのその価格帯を並べる傾向があります。「今はこれがお買い得ですよー、流行ってますよー」というやつです。一方、エンデュランスバイクでは考えられるいくつかの理由によってセールスするチャンスが生まれていなように思います。
1:ハッキリとしたわかりやすく(つまり誰でもわかるように単純化した)セールスポイントが薄くみえる
2:バイヤー自身もしっかり乗り込んでチェックしておらず、あまり良く理解できていない
3:エンデュランスバイクに力を注いでいないブランドもある
4:上記3つの理由も重なって、とくに販売しなくてもいいものと考えられている
しかし、それではもったいないと思うので、今回はSCULTURA ENDURANCEに興味をもっていただけるように考えました。これは単に埋もれている商材を表に出すだけでなく、客観的にみた場合にSCULTURA ENDURANCEを買うべきだろうと考えられるユーザーはけっこう多いと思うからです。実際、ぼくがSCULTURA ENDURANCEに関する説明を行うと、「まったく考えていなかった」「他のお店では勧められたことがなかった」という返答をいただくことは少なくありません。なお、これは「SILEX」も同様です。多くのお店、とくにスタッフが多くいるような間口の大きなお店ほど、売上目標が高いお店ほど、「売りやすいものを売る」「買ってもらえそうなものを売る」ことが多く、「お客さんにちょっと頑張ってハードルを超えてもらうことで広がる世界」を拾い上げる機会を減らす傾向にあります。ぼくはそれによって選択されないのはつまらないと思いますし、できる限り使用者の目的に対してミスマッチを減らしてあげることが、案内人の役割だと思っています。
非レース派のためのほんとうに望まれていたSCULTURA
SCULTURA ENDURANCEはエンデュランスライド、つまり、日本語で言うと「ロングライド向けに設計されたSCULTURA」となります。SCULTURAはレースバイクです。ただし、少し前までのSCULTURAは、徐々に増えつつあった非レース系ライダーをCF2グレードのカーボン繊維と上位モデルとは異なったジオメトリで設計し直すことで吸収しようと試みてきました。しかし、SCULTURAはそもそもレーサー、つまり競技者向けに設計されたロードバイクです。同じ機種の中に2つの微妙に異なる正確を共存させるのはわかりにくく、勘違いされることもありました。
そこでメリダは、SCULTURAの設計をロングライド層向けに改めることにし、より快適に、より遠くに、より楽しく走ることができるロードバイク「SCULTURA ENDURANCEシリーズ」を2021年に発売しました。まずは2021年にSCULTURAのエンデュランスバージョンをリリースし、翌年にフルモデルチェンジした「SCULTURA」をグッとレースバイクにすることで、製品構成を改めました。
ゆえ、SCULTURA ENDURANCEはビギナーだけではなく、レースバイクやレースを卒業したロードバイカーにも最適です。
SCULTURA ENDURANCEの特徴として代表的なものとしては、
・サドルに対してハンドルバーが低すぎない
・トップチューブとホイールベースを長くすることで安定性を格段に向上
・レースバイクよりも快適性と安定性を重視した設計
・タイヤクリアランスの拡大とそれに最適なバイク設計
が挙げられます。
SCULTURA ENDURANCEは単に快適なロードバイクであるだけでなく、SCULTURAをイメージして乗る人が決してがっかりすることがない軽快さや俊敏さも兼ね備えています。SCULTURA ENDURANCEの魅力は、レースバイクとエンデュランスバイクの両方をバランスよく両立させた性格にあるといえます。
SCULTURA ENDURANCE 300
「アルミフレームだからカーボンより云々」とバカにしてはいけません。最近、SPECIALIZEDではアルミフレームのフルサスMTBが発表されていますし、同社のアレースプリントやチゼルの評価をご存知でしょうか。カーボンフレームが不要だとライバル視するのではなく、十分に満足できるアルミフレームであると大変評判のよい車種です。それらのアルミフレームのすべてはメリダの台中本社工場生産です。そこでは溶接工程の仮止め以降を完全にロボットで行うオペレーションを数年前から実現しており、設計の際の自由度や実現可能な製品の幅が増し、優秀なアルミフレームを生み出すことが可能になりました。SCULTURA ENDURANCE 300のアルミフレームもカーボンフレームと同じ様な乗り味になるように設計されており、素晴らしいバイクに仕上がっていますので、ぜひ味わって頂きたい機種です。
ハイドロフォーミング技術は当初、とてもプアな製品しか生み出すことができませんでした。肉厚の調整もうまくできなかったので、重量はそれまでの丸い断面のパイプと相対して大変重たかったりし、剛性も明らかに過剰でした。見た目をボリューミーに仕上げたり、アルムフレームらしくない外形上を実現することまでは可能でしたが、その代わりに失ったものも多くありました。それ以前のアルミフレームはむしろ、軽すぎて、あるいは耐久性に欠けるといわれるものもありましたし、それらの製品はカーボンにリプレイスされました。代わって、ローエンドのアルミフレーム用にハイドロフォーミングが開発されたのですが、先程の通りでしたので、むしろ「アルミは重たくて硬い」というイメージを刷り込む要因になってしまったように思います。しかし、そこから技術は格段に進歩し、肉厚も3段階に調整可能ですし(トリプルバテッド)、それらをロボットが溶接するというレベルに至ったことで、アルミフレームの限界点はグンと上昇しました。つまり、丸パイプであることをアイデンティティの1つとしていたCAADというラインの製品を置き去りにしつつあるということでもあるでしょう。もはや、丸い断面にこだわる必要性はなくなったといえます。「カーボンキラー」と広告されたCAADですが、実はカーボンフレームはキルしたいライバルではなく、仲間であるわけです。今どきのよくできたアルミフレームを生産することが可能なメーカーやそこの工場では、カーボンフレームほどのコストを出すことができない場合にも、同じように主体性を保って楽しんでいただけるようにとアルミフレームの性能を引き上げることができています。これは本当にすばらしいことだと思います。
ポイントはもう1つあります。コンポーネントのギアの数で楽しさの限界点が低いと勘違いしないことです。ギアの数が多いと、自転車そのものが軽いと、自転車に乗るのが楽しいのだとアピールする声がありますが、これから自転車を始める人びとは、あまりその様な声に耳を傾けないほうが良いと思います。それはそれ相応のコストを費やしたという満足する声に他なりません。何かの目的や目標に対して、それに見合った道具を投入することは必要でしょうけれど、最初から高い釣り竿を手に入れても魚が多く釣れるわけではありませんし、それは自転車も同じです。ご自身が用意可能な、あるいは余裕を持ったコスト設計の中で自転車との楽しい生活を設計してください。ぼくは自身をもって、SCULTURA ENDURANCE 300をお勧めします。
なお、2022-2023モデルのSCULTURA ENDURANCE 300は現在20%オフで販売しています。
MERIDA SCULTURA ENDURANCE 300
253,000円 → 202,400円
SCULTURA ENDURANCE 4000、6000、8000
どのグレードもまったく同じカーボンフレームを採用しています。グレード差はコンポーネントやその他の部品となります。
SCULTURAは2022年にフルモデルチェンジされましたが、その前年に新しく作られたのが「SCULTURA ENDURANCE」です。2021年時点では、SCULTURA ENDURANCEが作られた意味を理解しきれていなかったのですが、翌年にSCULTURAに乗たことで製品構成の刷新を理解することができました。
このブログでは何度も書いていますが、現在のSCULTURAはハイエンドもミドルグレードもともにレーシーです。レーシーというより、ハッキリと「レースバイクである」という強い主張を感じます。レースライドで使ってあげるといいバイクになっています。アップルのパソコンで言うなら、Mac ProとiMacのような関係性に近いと思います。
ただ、性能をハッキリと落としてしまったり、ダルくしてしまうならば、「ロードレーサー」を期待して乗った人はガッカリしてしまったでしょうし、実際にそういうエンデュランスバイクをリリースしたブランドも存在しています。しかし、メリダはあくまで「SCULTURA」というバイクをエンデュランスライダー向けに設計し直すという手法を選択することで、レースライド用のSCULTURAとエンデュランスライド用SCULTURAという選択肢を用意したわけです。
先ほども書きました通り、両方のバイクに乗るまでは理解が進まなかったのですが、比較してみることで、なんと素晴らしい製品構成なんだ!と思いました。
「レースに出場するかどうか」ではなく、「レースライドをするかどうか」あるいは「レースバイクという過剰さが好き」だったり、「疲れてもいいから速いほうが良い」と思う場合はSCULTURAを、そうではなく、「できるだけ遠くまで、そこそこの速さで快適に走りたい」と願う場合には、SCULTURA ENDURANCEを選べば良いのではないでしょうか。
今のぼくにとっては、SCULTURA ENDURANCEはぼくが望んでいたSCULTURAでした。以前の若いぼくなら、SCULUTURAを選んだでしょう。SCULTURA ENDURANCEは単に柔らかいのではなく、小さくてやや扱いにくいけれどすばしっこいクルマを、少し大きめで安定しており、なおかつ速く走るのも楽しめるクルマにして楽しめる人を増やしたものですから、本来はこちらの方が広いユーザー層を受け持つ存在といえます。ただ日本では、あまり良く知らない人びとに対して、その事象の深さを説明する時間を省いた上で、できるだけ早く買わせる「わかりやすさ」でアピールを行い、ユーザー自身もまたそれを望むため、エンデュランスバイクに対してフォーカスする人は多くなく見えるのは残念に感じます。
こちらも現在20%オフセール対象となっている2022-2023モデルがおすすめです。
MERIDA SCULTURA ENDURANCE 4000
374,000円 → 299,200円
MERIDA SCULTURA ENDURANCE 5000
451,000円 → 360,800円
MERIDA SCULTURA ENDURANCE 6000
528,000円 → 422,400円 + 当店だけのスペシャルオファー(お問い合わせください)
MERIDA SCULTURA ENDURANCE 8000
880,000円 → 704,000円