person holding box end wrench

タイヤには空気を入れ続けましょう

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ほとんどのパンクは防げる

パンクはイヤですよね。途中で走ることができなくなり、目的を達成することができなくなってしまいます。パンクした状態で走ってしまえば、タイヤやホイールを傷めてしまい、パンク修理するだけではなく、それらの部品も交換しなくてはならなくなってしまいます。

しかしながら、何かが刺さって不運にもパンクしてしまうということは、実は多くありません。店で修理依頼をみていても、おそらく1割以下、大げさに見積もったとしても2割を上回らないでしょう。

原因としてもっとも多いのは何でしょう?

1:空気を入れず、タイヤが潰れたまま走行したこと
2:タイヤとチューブの使いすぎ


この2点がほとんどだと思います。つまり、大きく言えば整備不足です。

1を防ぐには、2〜4週間に一度空気を入れ続けることです。たったそれだけです。実にかんたんですが、これを行う人が全体の1割未満しかいません。

空気は抜けます。

どこから抜けるか?と訪ねると、「バルブ」という回答が多いのですが、残念不正解。正解は、「全体から抜ける」です。ゴムを透過して抜けます。ゴムが薄いほど、またタイヤが細いほどチューブの内側と大気圧との差が大きいので抜けやすくなります。タイヤが細い場合、僅かな容積の空気が抜けただけでも、空気圧の変化が大きくなりますから、頻繁に空気を足していれる必要があります。

定期的な点検も欠かさずに

2を防ぐには、定期的に自転車店での点検と整備(故障箇所の修理)を行うことが推奨されます。「セルフメンテ」する方もいらっしゃると思いますが、ぼくたちのような有資格者と一般の方では見る場所も見方も異なります。日常的な点検項目に関しては、自転車を預けなくても可能である場合が多いでしょう。(ただし、年単位で点検も預け修理も行っていない場合には、点検だけで済ますことは不可能であり、日帰り点検では済まない場合が多くなります)

自転車は多くの部品で構成されています。フレームも部品、ホイールも同様です。それらの部品は使いすぎてしまうと壊れてしまいます。どのようなモノでも同じでしょう。使ったらケアをしなければ壊れてしまいます。モノを買ったら壊れるまで使い、買い換えれば良いという考えの方もいますが、これを自転車で行うことができた時代は終わりました。それには激安自転車が必要だからです。いまや、チェーン系自転車店のオリジナル品ですら3万5千円くらいはしますが、品質はよくありません。継続して整備を行う愛着を形成したり、あるいは整備のしがいのある5〜6万円くらいするちゃんとした自転車を買い、それを大事に使うほうが圧倒的にコスパが良いと思います。いろいろなものの価格が上がっている現在、コスパが良いという動機から安いものを買おうと思うほど、実はその反対になっていっていると思いませんか?自転車も同じです。

自転車を購入したらカバーを掛けるといいと思います。面倒ですが、これをやるだけでかなり効果がありますし、自転車を大切にする気持ちを培うこともできます。

点検だけでは不足、大切なのは修理依頼

まず、基本的なこととして、点検はあくまで傷みのある箇所をチェックしたり、壊れている箇所がないかどうかを確認するものです。「年に一度の点検を」と言われますが、毎日のように利用される自転車においては、整備が必要な分だけ行われることはほぼありません。自分で行うこととしては、チェーンにオイルを差すくらいが限界だと思います。毎日使うものですから、仕方がありません。その状態で1年間にわたって自転車を使い続けますと、どこかしらには不調をきたします。人間と同じです。人間は自然に回復することが可能ですが、機械はどんどん悪くなっていきます。

それを数年間積み重ねますと、確実にどこか壊れてしまうか、それに近い状態になります。「壊れてから店に持っていく」というスタイルは一般的ではあるでしょう。しかし、ここで問題なのは「壊れた」という状態認識の個人差があることです。再び人間に例えれば、ちょっとした風邪で医者に行く人もいれば、定期的に健康診断やドックを受ける人もいます。反対にまったく医者にかからず、致死の一歩手前くらいまで放って置く人もいるでしょう。自転車でも同じことが言えます。完全に走行することができなくなってからでは、修理に必要な時間、費用などのあらゆるコストは大きくなりますので、トラブルは小さな内に対応しておくことをおすすめします。

壊れている、あるいは壊れた、または不調をきたしていると認識している状態には個人差がかなりありますので、
「壊れていなくても点検を定期的に受ける」
「壊れていないと思っても壊れているケースは少なくない」

という2点を認識いただくことが大切になります。

クルマの車検でもよくありますが、「壊れていると認識していなかったが、車検に出したらいろいろ積み重なった」ということはよく聞くケースです。1つの個体を長く使えば使うほど、そのような自体は起きやすくなります。

自転車店もいろいろありまして、あまりクレームをもらいたくない(もらいたいと思う人はいませんが)店主は、5,000円未満の工賃でバラさない点検だけして返却するのですが、実際にはそれでは自転車に対する延命措置としては不足してしまいます。現在、自転車店の工賃は以前の1,000円/10分から、1,400円/10分くらいにまで上がってきております。それは世の中の流れに合わせた対応となり、致し方のないことです。先程の5,000円未満ですと、自転車のどこか一箇所でもばらせるかどうか、基本的にはバラさない範囲での対応となるため、修理内容には限界があります。

「あっちもこっちもだめです」と伝え、必要な修理料金をお伝えすると、「この店は高い」「お金がかかるお店だ」と認識されるため、基本的に「本人が自覚していない箇所は手を付けないで放置する」方が無難な対応となります。しかし、それは別のトラブルを内包したかたちでの利用を続けることになり、予防することはできていません。

ぼくは歯医者と同じですと例えて話します。

虫歯になってから医者に行くのではなく、虫歯にならないようにするために定期的に通院をし、クリーニングを行ったり、小さな虫歯を治療し、歯を失うような大きなトラブルにならないようにすることが大切だと思います。

自転車でも、予期せぬトラブルが発生してしまう方が、コストは大きくかかります。自転車を利用できない期間も長くなります。事前の予防を持続することで、大きなトラブルを防いでいくほうが便利に利用できると思います。

少なくとも1年に一度、自転車店へ数日間預け、普段行うことができない整備や修理を行ったり、不足を補うような運用をされることをおすすめします。