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メリダの紹介をカンタンに
メリダは台湾の企業です。漢字で書くと、美利達(メリダ)。その意味をご存知でしょうか?もしかすると、メリダで検索したことがある方がいらっしゃるかも知れません。そこででてくるメキシコの都市の名前は残念ながら不正解。
美 “は美しい、”利 “は快適、”達 “は流動的で移動可能、特に乗り物や輸送手段を意味する。ざっくりとに意訳すれば、「誰もが最も快適な方法で目的地に到着できるような、美しく高品質な製品を製造する」という意味になります。創業者のアイク・ツェンが約85年前に創業したころ、メリダがオートバイのパーツを製造に注力していました。そこからも社名の由来が理解できるのではないでしょうか。そこからアイクは短期間で自転車メーカーへとスイッチをし、発展させ、Raleigh(ラレー)との協業を成功させました。他にも多くのメーカーのOEM生産を請け負いましたが、現在ではほんの一握りのメーカー向けに生産しているに過ぎません。主業は自社ブランドであるメリダの製造と販売です。
1990年代に入ったころ、中国からチープで低品質な自転車が大量に世界中に輸出されるようになり、また台湾国内にも入ってきたりし、メリダを含む台湾企業は圧迫を受けます。しかし、台湾企業はパーツメーカーを巻き込み、高性能かつ高品質な自転車を合理的な価格で戦略的に販売することによって復活を遂げ、さらには事実上の世界の自転車生産の中心地としての地位を完全なものとしました。台湾は自転車産業においての中心となるように、国としてバックアップをしました。
その結果、もはや台湾のいくつかの企業が首を立てに振らなければ、欧州も北米も商売ができない状態になりましたし、そこから約10年が経過しています。多くの人は「台湾にGIANTがあり、大きい」「欧州や北米製品と比較して価格が安く、高品質」というくらいの雑な情報しかメディアから与えられていない場合が多いと思います。その場合、メリダや台湾に対して「単に大きなメーカーであり(があり)、品質は充分で買いやすい」というような認識をされえている方が多いのではないかと思います。もしや、販売店の中でもこの程度の認識の人はいるのではないかと思います。
しかしながら、さきほど書きました通りです。世界で1番目、2番目に大きな自転車メーカーがあるところまでは間違いではありませんが、品質は充分ではなく、世界最高。性能もメリダでは毎年ブラッシュアップされ続けるライバルの中にあって、必ずTOP5に入るという目標を掲げて開発を行っています。つまり、もっとも素晴らしい製品を生み出すメーカーの中の一つということになります。ともすると、”無難な選択”だと認識されがちですが、もはや欧州においても、ロードバイクチームによる影響も加味され、最高のサイクリングギアとしてポジティブに選択される存在になりました。
台中にある本社では約1,300人の従業員が働いており、年間に約100万台以上の自転車を生産しています。台中では日本のカタログでいえばMGDモデル以上のハイエンドモデルに絞って生産しており、その他のモデルは中国にある3つの工場で生産を行っています生産と製造の拠点はアジアにありますが、欧州市場向け製品(主にEバイク)の組立ラインを含む開発センター(MERIDA R&D センター)はドイツはシュツットガルト近郊にあるアプシュタットという人口約5千人しかいない村のような小さな街にあります。ドイツの開発専門知識とアジアの生産・製造の経験を組み合わせるというモデルは、自転車産業にある他の企業や自動車産業、あるいはほかでもトレースされています。
2018年以来、7年ぶり
そのMERIDA R&Dセンターのゼネラルマネージャーであるベンジャミン、Eバイクのプロダクトマネージャーであるハネス、MTBのプロダクトマネージャーであるステファンの3名が11月20日〜21日の日程で来日しました。ベンジャミンはもとロードレースの選手であり、またサイクルサッカーでドイツを代表して日本に来たこともあります。メリダには2015〜2016年くらいだったと思いますが、その頃は先日亡くなったヨーガンがゼネラルマネージャーを務めていた下で、Eバイクのプロダクトマネージャーとして加わりました。メリダの台中本社裏にある緑地を前にして、約6ヶ月という短期間で最初のEバイク用のラインを立ち上げたそうです。
2日間つきっきり
スケジュールをカンタンに書き出しますと、
初日午後:プレゼンテーション
初日夜:夕食
二日目午前:サイクリング
という感じ。
こうして箇条書きにすると、「大したイベントではないのでは」と思うでしょうか。今回はパートナーショップだけではなく、MGD店でも参加可能だったのですが、あまり参加者が多くなかったのには驚きました。こんなチャンスはそうそうありません。おそらく、多くのお店は製品がトレンドに対して乗っているかどうかといくら売るかを大切にしているのであって、ブランドを伝えることであったり、作り手と我々が共有する情熱や愛情であったり、それらをエンドユーザーへ伝えることであったりには、あまり興味がないのではないかと思いました。ぼくはエンドユーザーが長くメリダブランドやメリダ製品への理解を深め、価値を感じていただけるようにするには、とても大切なことだと思っています。
2012、2012、2014とマヨルカ島で開催されたワールドプロダクトローンチイベントに参加できたことも同じです。あのときに経験させてもらったことは、今のぼくの血肉であり燃料になっています。故ヨーガンをはじめ、当時のMULTIVAN MERIDA BIKING TEAMの選手たち、各国のディストリビューターのスタッフや世界中のジャーナリストはもちろん、現地に住む人びと、ホテルやレストランで働く人々に至るまでさまざまな刺激をもらえました。
スペインまで行き10日間もの期間に3カ国に滞在するとなると、旅行のようだと思う人も多かったですが、当人はほんとうに緊張していました。どうしよう。どうして仕事にしよう。何を話そう。どこから聞けばいいのか。そういったメディアの場には行ったことがありませんでしたし、自分のスタンスすら危うい状況でした。しかし、どうにかこうにか仕事をし、それをメリダジャパンに認めていただき、今につながってきたわけです。
それは単に現地へ行くというお祭りのような気分の問題ではなく、実際に人と人が会って、顔を突き合わせて、稚拙な英語であっても話をする、その努力をするということにあるのだと思っています。ですから今回も、プレゼンテーションで行う質問をいくつも考えておきましたし、夕食の時間にはGMのベンジャミンの隣の席を空けてもらって確保し、質問したり、雑談したりを続けました。夕食後は2次会のセッティングまでして頂いて23時過ぎまでつきっきりで可能な限りの情報を引き出しつつ、共有できるように脳みそをかフル回転笑。翌日は12時に解散したのち、夕方にスカイツリーへ行きたいという希望があると聞きだしておいたので、帰宅後に娘といっしょにいって展望台で再びジョインしました。ベンジャミンは2017年に会ったことを覚えていてくれたのですが、今回は最初から最後までいましたので、さすがにぼくのことは記憶に染み付いたでしょうね笑
いくらオンライン会議をしても、いくら海外のソースにある文字を読んでも、そこから得られることは限られます。3時間の飲み会の途中で帰ってしまうとわからない、最後の10分にあったいい話なんていうことが、ご経験にあることだと思います。先日もオードリー・タンが「5年間ビデオ会議した結果、微妙な情報の変化がわからず、相手を夢の中の人みたいに扱う。直接のやり取りは必要。」と発言したそうですが、まさにそれだと思います。
結局、人は人と会わないと何も得られないとぼくは思っています。
というわけで、今回は定休日である水曜日、それから木曜日を臨時休業として、皆さんご存知の「MERIDA X BASE」まで行ってきました。
続きは次回以降に。