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こんにちは。ぼくのくだらないコラムを楽しみにしていただいている方、ありがとうございます。そんな方が何名いらっしゃるのかわかりませんが、「またややこしいことを書いて、面倒なやつだな」と思われても、それがぼくなので、誰かの心に刺さるのではないかと期待しつつ、書いておきます。
バイクが変わると、ペダリングも変わる
「そりゃそうだろう」
「当たり前だろう」
そういうのはかんたんです。あるいはベテラン勢の方は特にそう思われると思うんですが…、ただ、年齢が上の方になればなるほど今の現役バイクにまで乗っている方は多くはないように思います。言葉で言うのと、実際に体感するのでは異なります。お店のオーナーやスタッフさんで40代後半以降の人の場合、以前と今のバイクを両方とも地続きで経験しているので、ぼくが言うことをわかってくれると思います。
最近になって、改めて思い返してみたんです。 SCULUTURA ENDURANCEやSILEXに対して、なぜぼくは相性が良いと感じるのか?と。
これは2023年のエリートロード世界選手権です。違和感がないように見える人も多いんじゃないかと思いますが、ぼくは「変わったなあ」と思いました。
2020年の東京でも似たように見えると思いますが、わかりやすくする為にもう少しさかのぼって2010年の世界戦を観て下さい。漕ぎ方がぜんぜん違いますよね。シッティングでもスタンディングでも、独走でも集団でも、ペダリングする時の身体の使い方が大きく違います。2010年の時点でも素材はカーボンです。どこかの時点で一気に変わるということはありませんが、2010年から2015年くらいにかけて段々と変わってきて、それがここ数年でさらに先鋭化してきたように感じます。以前はあくまでスチールで作っていたものを他の素材で置き換えていただけで、カーボン素材たる部分を発揮しきれずにいました。
カーボンは複合素材ですから、カーボン繊維と樹脂でできています。進化しているのは主に後者です。樹脂と成形方法やそのノウハウにより、積層も大きく変化します。ブレーキの方式をディスクのみにしたタイミングで、フレームを構成する10本のパイプそれぞれの役割は大きく変化し、階段を段飛ばしで駆け上がったような変化が生まれたのがここ2−3年だと思います。
さらに10年さかのぼって1990年の宇都宮での世界戦をみてみると、こんなにも違ってしまいます…。
「違いがわからないなあ」 と思う方はお店の人に聞いてみましょう。
自転車が変わるというのは、このように乗り方も大きく変わるということなんですね。
最近のレースバイクは以前よりレースに一層特化させています。ロードレース用バイクはロードレースに、シクロクロス用バイクはシクロクロスレースに、グラベルロードレース用バイクはグラベルロードレースに特化しています。
「ロードバイク(他でも言えますが)でいろいろできた」は、以前なら確かにそうだったとも言えますし、今は乗り方に合わせて細分化して使いやすくなったとも言えます。単に乗り方を変えればいいというものではなく、必要なフィジカルレベルや方向性も変わってきたということですから、”自分(の目的)にとっての使いやすい良い道具”を選ぶためにお店がするお手伝いは、以前より必要性が増していると思います。
1990年の世界戦での古賀志と比べると、今の登り方とはあまりに別物です笑
さて、ここからはグラベルでの話
ちなみにこれは2024年のグラベル世界選手権の動画です。 これをみると、グラベルもレースバイクとそれ以外で目的がかなり異なることがわかります。 ロードレースの方がきつそうにみえますが…このレースをファンデルプールは182km/1200mを時速38キロで優勝しており、レースタイムは4時間41分。集団にはなっているものの、ほぼ独走に近いシチュエーションは多くなりますし、体に対してのストレスは段違いに高いと思います。2024年のコースは前年と比較すると平らで荒れたところも少なく、まさにロードレースのようですが、ロードレースよりはるかに身体にはキツイでしょう。2024のファンデルプールのデータはありませんが、2位と3位の選手のデータを見る限りでは平均345W、NP435Wくらいは出ているだろうとのこと。
この傾向が続く場合、というかたぶんそうでしょうけど、グラベルレースバイクの方向性はたしかにロードレースバイクと似た形になっていくような気はします。選手側も、チーム戦ではなく個人戦であるグラベルの方が目立つだけではなく勝てる可能性が高いため、他の種目からグラベルメインへ移行する可能性もあると思います。観客にとっても中だるみしにくく、レースタイムも短いため、楽しめる要素が大きそうですし、実際に観客は多いですね。
さて、ぼく自身はグラベルを走るためにどのバイクを選ぶかを考えると、最初に見比べたロードレースでの違いが関わってくるでしょう。 わざと極端にいえば、多用途型か、特化型かです。 特化型はレースにしか特化しません。とくにトップモデルは182kmを350Wで走るためのバイクですから笑、これはなかなか厳しいと言えますね笑。グラベルロードレースでは、レースバイクではない製品も使われていますが、2024年のようなコースで勝てるバイクか、あるいはそうでないかで変わってくると思います。グラベルロードレースはターマック(舗装路)でのロードレースよりレースタイムも短い、つまりシクロクロスの60分に近いと言えば近いわけで、より1時間あたりの強度(NP)の高いレースであると言えます。各メーカーのロードバイクやグラベルバイクの狙いを鑑みつつ、ご自身の目的に応じて、お店で相談してみて下さい。
と書いたら、今知りました!
2025年のグラベル世界戦はニースのキャンセルが26日に発表されて、スペインになったんですね。 コースは97キロ、2,500mUP、グラベル率は72% これ、先月15日のカスティヨンとまったく同じっぽいですね。その際にはほぼスペイン人しか出場しておらず、バルヴェルデが勝ってますが笑、世界戦はまったく別のレベルになるんでしょう。 高速化傾向かな?と早合点したのですが、そうではないようでぼくはうれしいです。シリーズ全体の傾向と同じく、コースも多様化、バイクも多様化なんですかね。 いずれにしろ、面白く魅力的なジャンルだと思います。

