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[コラム] グラベルバイクでのホイール選び

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グラベルバイクのホイール選び

今回はグラベルバイクでのホイール選びについて、いつもの通り一家言あるうるさいぼくですから笑、書いておきますね。

ホイールの選び方については、きっと、
・軽さ
・かっこいい
・価格
という感じで選んでいる方が多いのではないかと思います。

その事自体は、それぞれの人の価値観と選び方ですから、どうぞご自由にというところです。ただ、ロードバイクとグラベルバイクで選び方は同じで良いと言ってしまうお店が多いのではないかと思っているので、ぼくは違う考えであることを伝えておこうと思いました。

リム高が増すメリット・デメリット

リムハイトが増すメリットとしては、どのようなものはあるでしょう。

・空気抵抗低減
・剛性向上

でしょうか。

前者にメリットがあると多く語られるところですが、実際は時速30km/h台で意味がない訳では無いでしょうが、40km/h前後やそれ以上になることでメリットが大幅に増します。ロードレースにおいては、ギアが回りきってしまうような高速域、つまり下りにおいて差が大きく開くのは、ホイールに限らず”エアロ効果”全体の目的です。

むしろ、デメリットはなんでしょう。あまり語られないですよね。お店の人は特に言いませんね。ほんとうに「かっこよければすべてよし」という価値観であればいいでしょうけど、乗った感じも大切に思う方であれば、両方を天秤にかけて納得する作業は必要だと思います。

リムハイトが増すデメリットとして挙げられるのは、

・リム剛性の向上
・外周(リム)の重量の増加
・ホイール全体としての剛性向上

でしょうか。

カーボン素材というだけでリム剛性は以前と比較して数段上がっています。さらにリムハイトが増すことでリムの横方向、縦方向、ねじれ方向とも上る可能性が高くなります。外周の重量が増すため、同一重量のホイールであれば、リムハイトが高いほうが、剛性向上と合わせて重たく感じる傾向があります。このように、カーボンディープリムにはメリットもデメリットもありますので、それぞれ使用目的に鑑みて検討する方が良いと思います。「重量が軽ければ、重たく感じる分を相殺し、結果的に軽く感じるのでは?」と思うかもしれません。どうでしょう、いろいろな場合はあると思います。ただ、ぼくが経験した限りでは、軽いことが全てに勝るという感触は記憶していません。とくにオフロードでは。乗り手の出力や乗り方との相性はとても大切だと思います。

振り回すより、転がす

オフロードでは軽さでホイールを回すというより、跳ねないように、タイヤの選択とセッティングを含めて上手く転がしていくことが大切なので、軽くすることやリムハイトを増すことに対して、それがかっこいいんだと思う人が多くない傾向はあると思います。

グラベルバイクは、色々なジャンルからのミックスされた面白さが期待できるので、色々なバイクがあって良いことだと思いますが、ロードバイクでの常識や傾向だけではなく、オフロードの面白さを味わうためのコツについても吸収してみて良いと思います。

ロードバイクとの違い

本題の違いです。路面が違います、もちろん。ロードバイクの場合、基本的にはすべて舗装されています。舗装の素材や荒れ方に多少の差はあるものの、フラットであることに変わりはありません。それが舗装されているということです。

しかし、グラベル路面には多様性があります。砂、砂利、ガレ、芝生とそれらの複数がミックスした状態です。ドライかウェットかも加わると更に複雑さが増します。常に変化します。また、林道のような場合には轍が掘れているケースが一般的です。とまあ、とにかくいろいろなんですね。

これは国によって違うんです。ヨーロッパのような大陸の国と日本のような火山国ではまったく違います。ヨーロッパでも、イベリア半島やイタリア半島では日本とにているケースも増えてきそうです。前者には砂が多いのに対して、後者は砂利やガレ場が多いことでしょう。斜面も後者は急峻です。

ヨーロッパで見るような、メディアを中心に憧れを抱かせるバイクには、グラベルであってもリムハイトの高いホイールが使われているかもしれません。2024年のグラベル世界選手権で優勝したマチュー・ファンデルプールの平均時速は38km/hですし、たしかにリムハイトは高いほうが良さそうです。しかし、女子王者のフォスは40mmでした。よくあるパターンです。女子の選手は世界レベルでも50mmは使えない。メリットよりデメリットが多くなるのでしょう。よく言うのは、日本の男子エリートは世界の女子エリートを参考にすると良いというやつです。出力が同じくらいなのですね。

ベルギーのようなフラットで砂地の多い路面であれば、50mmくらいのリムハイトはメリットも増すのでしょうけれど、日本の多くのグラベル路面ではメリットが現れることはほとんどないどころか、むしろ高い剛性が悪さをするケースは多くなると思います。それでも使うのは個人の選択でしょうけど、実際、荒れた路面ほど不安定になりますし、疲労もたまりますし、軽さによるメリットと天秤にかけて考えてみたほうが良いと思います。リムハイトが高ければかっこいいのではなく、それぞれの環境に合わせたスタイルがかっこいいという価値観もあると思います。

アルミホイールという選択もある

MTBを眺めてみてわかると思うのですが、実際にレースに出場するようなライダー以外は、ほぼカーボンホイールを使うことはないということです。オフロードだからですね。軽さ軽さと最近はしきりに言われるのですが、ツーリングを主体にする人が多いオフロードジャンルでは、そこまで軽さについて一生懸命になる人は多くありません。そんなことより、自転車をもう一台増やすとか笑、そういうことを考えがちですね笑

あるいはMTBの場合には、維持管理にロード以上にお金がかかりますし、壊すことも多いので、高い機材を使おうという意識は薄いといえます。無理してホイールにお金を使おうという意識は、グラベルジャンルには必要ないと思いますので、グラベルでは機材にお金をかけすぎず、長い目で楽しんでみてください。