MERIDA PRESS CAMP 2013で感じたこと

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長文になりますが、気が向いたら是非読んでみて下さい。

今回のプレスキャンプについての各部分にフォーカスした記事は今後も書き続けていきますが、まず最初に総括からさせて頂くことにしました。

つまり、”メリダプレスキャンプとは何なのか?”を。

それはユーザーの皆さんにメリダというブランドへの理解や興味を深めて頂く為です。自転車には機材として、ギミックとしての面白さはありますが、それらを実現するにはコストが必要です。時間とお金ありきのサイクリングなんて楽しめる人には限りがあると思います。ゆえ、新製品は誰もが喜ぶものではないと思っていますし、欲しいのは楽しい体験であって、それを実現できる機材だと思います。

昨年に続いて二度目の参加となったMERIDA PRESS CAMP。

自分にとってホテルや周辺環境も同じで、タイムスケジュールの予測も立てやすいわけですから、ある程度の安心感を感じていました。チームプレゼンテーション、機材に関してのプレゼンテーション、そして開発中バイクの試乗に次ぐ試乗という、楽しくも悩ましく、自転車乗りにとっては最高の時。

昨年と大きく異なるのはLAMPRE MERIDAが加わっていること。もちろん、エリートクラスのロードバイクレースカテゴリーであるワールドツアーに参加する”事の大きさ”は理解していた?つもりです。あくまでも口だけでは…頭では…。そして、自分自身がレースファン、あるいはスポーツファンであることから、こんな瞬間に立ち会える喜びはそれはもう表現しきれないほど。しかし、それと同時にドーピング問題によって集中しきれない感覚を感じていた。同じ思いの方も多いと思います。

結果から言ってしまうと、自分の思いなど全く関係なかったのか…という圧倒的なパワーでした。

レース、スポーツ、アスリート、メカニックなどのサポート、それを動かす政治力、すべてはビジネス。

レーサーが勝ちたいと思う気持ちは純粋なのだけど、それを取り囲むものはそうではない部分もあり、しかしながらそう言ったことを理解しつつ動いているのも確かなようでした。

ロードレースの面白さを言葉で表現するとき、「ロードレースはまるで人生のようだ」という言葉があります。まるでよくできたストーリーのようなレースをみて、僕らはそう感じるだけだったのですが、実際の現場を知れば知るほどになるほどと思う部分が増し、複雑な気持ちになったのです。

今後も純粋な気持ちで競技をみられるだろうか?と。

あるドイツ人ジャーナリストと話した時のこと、彼はこう言っていました。「他のチームではここまで大きくないよ、ここは大きすぎる。やりすぎだと思う。あまりにも派手だし、選手を後列にして、その前列に会社がらみのメンバーが連なって手を上げ、声を上げ、カメラのフラッシュを浴びる姿はおかしい。だって、選手が主役でしょ?」と。

確かに、それは僕も感じたことでした。

ペタッキ、ポッツァート、クネゴの三名が現れたあとの会場は、それはそれはもう熱かった。最前列中央を確保した僕の周りには、世界各国から集まったプロのジャーナリストやカメラマンが何重にも重なり、僕は全く身動きが取れなかったし、ありきなりな表現ではあるけれど、身体中のアドレナリンが一気に沸騰したのを感じました。

でも、その後のこと。選手へのインタビューが一段落するや否や、ウィリアム副社長、MCGのウォルフガング氏、開発責任者のヨーガン氏、ランプレメリダ監督のサロンニ氏、MULTIVAN MERIDA BIKINGTEAMの監督、そしてランプレの社長が続々登壇し、誇らしげにメリダのロードバイクを掲げます。

その時、背後にいたポッツァートはちょっと狭いところに追いやられたような表情をしていたし、クネゴも驚いていた様子だったように、少なくとも僕にはそう見えたし、同時にある種の違和感を感じたのは確かでした。

ただそれは、プレゼンテーションの手法に疑問を持ったのではなく、「なるほど、このプレゼンテーションの意味はそういうことだったのか」というところを理解したという表現が正しいかと思います。

シンプルに言えば、メリダという会社は本気だ…という事。

本気でロードレースの世界を自分のものにしようとしていると言う事。

未だに、メリダが単なるOEM生産メーカーで、いわゆる”台湾ブランド”だと信じている人がいるなら、それは改めるべきだと思います。考えが間違っているということを言いたいのではなく、”もったいない”と思うからです。あえて言うならば、”悪しきブリヂストン時代”は忘れた方がいいと思います。過去に何があったかは知らないし、その必要性も今更ではあるけれど、その時からメリダ自身は変わっていないですから。

メリダはビッグブランドになったことを、これでもかと言うほどに目の前で見せつけられました。

自転車が盛んなヨーロッパのいくつかの国では完全にプレミアムブランドとして認知されているし、多くの一般ライダーはレースで使われるメリダに憧れて乗っています。ドイツで設計され、台湾で作られ、信頼のある世界で最も高品質なブランドとして。

それはきっとヨーロッパ人達が自国のブランドが弱体化していく様を目の前で見ているからだろうと思います。個別には挙げませんが、日本ではまだ元気だと思われているいくつかのブランドはもはや風前の灯火にもなっている現状があるからです。

売れているブランドのバイクに乗りたい、レースで使っているブランドに乗りたい、有名な憧れのレーサーが乗るブランドに乗りたい、そう思うのは当然のことですし、自分自身がそれを誇れるライダーでありたいと思うのは世界共通の認識であり、スポーツマンとして当然の価値観でしょう。

日本では”自転車はヨーロッパが本場”だと認識されています。もちろん、それはその通りなのだけど、あくまでスポーツの場としてという注意書きが必要かも知れません。

今や、ヨーロッパ人がアジアンブランドに乗って走る時代。

単に政治力と金だけではなく、バイクとして機材として優れていることがそのバックグランドにはありますし、それを認めた上でヨーロッパの一般ライダー達までがそちらに傾きつつあるという事実。

現状、お高いバイクに豪華なホイールを履かせて走るライダーと高性能だけど身の丈に合ったバイクで走るライダーへ2極化しつつあるのは世界共通のようで、いつまでも「憧れの○○○○」「いつかは○○○」と言うような叶わぬ夢を追いかけ続けても、一部の人以外は楽しくないことに気がつき始めているのだと思います。そして、僕もその1人です。

なぜ、お店としてメリダをプッシュするかはそこに理由があります。

自転車は趣味であるけれど、スポーツの道具でもあるわけで、道具はいつかダメになるのです。完全な割り切りは出来ないですし、するつもりもないのですが、”買えない道具”に憧れ続ける時代ではないのではないか?と思います。

サイクリングを楽しむには”良い機材・道具”であるより、身の丈に合った楽しめる道具が必要だと思います。

「自転車を弄れるようになったら楽しいだろうなぁ…」という想いの裏には、「もっと分かって、安心して、楽しめるだろう」という想いがあるからでしょう。

私が自転車を買って頂いた方に「弄らないで」と言った事はありません。むしろ、どんどん弄って欲しいと思います。その上で「自分にはここまで出来るけど、ここからは出来ないな」と実感を持って頂くことが大事で、”出来ることが増える”事が安全やスピードや結果に繋がるのだと自らの経験を理由に思っています。

モッタイナイから触らないし、触れない…それよりも、触れて壊せる道具である方が幸せなサイクリングが出来るのではないかと思います。その為にメリダは最適な道具を作っていると思います。

そして今回のプレスキャンプでは、それはただの道具ではなく、トップレーサーが使用する夢の道具である事も肌で実感しました。

ぜひ、メリダのバイクを見に来て下さい。乗って頂く事も出来るようにご用意しています。

そして、メリダに乗ったレーサーが活躍する姿に夢を持って楽しんで下さい。

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